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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第二章:違和感
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俺達の勝利だ。


 チャーラルの放った魔法は風属性の恐らくウィンドカッター、風属性の魔力を刃にして飛ばす魔法だ。それをこれも推測だが4つ放った。推測になるのは、風属性の魔法は無色透明で基本的に視認出来ないからだ。走ってるなどに体に掛かる空気の圧。それが風属性の魔法と言えばイメージしやすいだろうか。


 4つの風の刃は一直線にスネークコングへと向かい、着弾する。



 「グォオオオオオオオ!!」

 「シャアーーーー!!」



 スネークコングのゴリラの体に4つの裂傷が出来、その一部は尻尾の蛇の体をも傷付けた。それによりゴリラと蛇、2つの絶叫が辺りに響き渡る。


 怒りの形相でこちらへとスネークコングが振り向いた頃には既に前衛である俺とイリコスはスネークコングの足許へと辿り着いており、威嚇による咆哮を上げようとしているスネークコングのがら空きの胴体へと俺の短剣が突き刺さる。



 「貫け!!」



 短剣には既にペネトレイトといつぞやに使ったアロッドエクステンションの刀身版であるブイドエクステンションを発動していた。それを起点に、延びた刀身を射出するオリジナル魔法ブイドインジェクションを使い、突き刺した短剣を更にスネークコングの奥へと押し込む。


 そしてスネークコングが何か反応する前に短剣から手を離して距離を取る。入れ換わるようにしてイリコスがスネークコングの懐に入り込み、左の大楯で残った短剣の柄を叩き更に押し込んだあとスネークコングの頭部目掛けて右の小楯の刃を斬った。


 斬ってすぐイリコスは跳び上がり、スネークコングの胸に刺さる短剣の柄を片足の裏で蹴ってその反動を利用してスネークコングの間合いから離脱。離脱と同時、風と火で威力の増した炎のランスが3発スネークコングに着弾する。魔力的にこのファイアランスを放ったのはクソ野郎だ。


 風で体を刻まれ、胸には短剣が突き刺さり、数度その短剣を押し込まれ、そして今傷口を焼かれた。スネークコングからすれば堪ったものじゃないだろう。

 しかし俺達は手を緩めなかった。


 先制攻撃で離脱していた俺と短剣を押し込んだイリコスはスネークコングの背後へと回り込み、俺はスネークコングの膝裏へ、イリコスは尻尾の蛇の体へと駆け寄った。

 到着と同時、俺は膝裏へと予備の短剣を抜き放ち突き刺す。イリコスもイリコスで蛇の頭を口が開かないように拘束し、その首の辺りから小楯の刃を使って切断した。


 どうやらオスの個体だったようなので、膝裏へ短剣を突き刺したあと俺はスネークコングの股間へと移動し、躊躇い無くその剥き出しの玉へと拳を放った。



 今度こそ周囲の空間へ轟く咆哮。しかしその声は心なしか痛みに堪えるような、そんな悲痛な声だった。


 その咆哮を放つ口の中へと火と水の矢が突き刺さり反対側からその鏃が突き出す。エンラジーの魔法は火属性と水属性の魔法を矢の形にして放つアロー系と呼ばれる魔法だった。


 再び咆哮は中断され、焼かれた傷口を水で叩かれ口の中までズタボロになったスネークコングは、それでも生きていた。


 だから腕にペネトレイトと魔力は普段より消費するが、普通のエクステンションを掛けて、口を半開きにして放心状態のスネークコングの足下まで移動。頭の真下に来たところでペネトレイトとエクステンションを掛けた腕を天へと突き刺すように番え、スネークコングの頭部目掛けて跳び上がり、接触する寸前で突き出した。


 俺の腕は見事にスネークコングの頭部を貫き、なんなら俺の体事スネークコングを貫き、ゴリラの頭も蛇の頭も失くしたスネークコングはそのまま絶命した。



 俺達の勝利だ。



 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 戦闘の後処理をし、各々今回の戦闘の反省点を出しつつ次へと向かった。


 今回のスネークコングは簡単に勝てたが、それは奴がかなり油断していたのと5対1で一方的に戦えたからだ。

 これが例えば俺1人とかならかなり苦戦したことだろう。他に誰かが居たとしたら、流石に今回のようには行かないだろうがまぁ勝てるだろう。


 改めて今の自分は精々良くてCランクなのだと思い知らされた。1人では儘ならないレベルの強さだと強く意識させられた。そんな戦闘だった。



 パーティーとしての反省点を洗い出したあと、俺が体や服を水属性の魔法で洗い流して乾かしつつ次の目標へと移動した。


 次に近かったのは、実は東南東の方角の小さな溜め池と少し大きめの木が在る場所だった。方角という意味では北北東の方へ移動してから東南東という流れを連想するだろうが、一直線で現在地と目的地を地図上で結んだ際、近いのは東南東の方角だったためこちらに移動することにした。


 道中はお互いやりたいことをやっていた。チャーラルとイリコスとエンラジー達上級生組は恐らく普段通りの会話をしていた。たまに俺達にも話を振られたが、その時は適当に話を合わせた。

 クソ野郎は黙って着いて来ていた。本当に何を考えているかわからないカオで着いて来るものだから、不気味ったらしょうがない。

 俺は移動中の道に有る薬草や毒草やそういう魔法薬学系の素材なんかを採取していた。道中に魔力回復ポーションの素材となるキノコや根を持つ植物が複数有ったため、素材の品質を下げず尚且つ進む速度を落とさないように採取するのが大変だったが、とても有意義な時間だった。



 そうして辿り着いた場所には、案の定というかスネークコングが居た。それも親と子の2匹だ。

 父親か母親かはわからないが、もう片方の親スネークコングが居なかったが、俺達はこれ幸いと2匹を狩った。


 流れはほぼ変わらず。違いが有るとすれば、俺が子供の方のスネークコングを引き受けている間に親スネークコングを他の4人で潰してもらったぐらいだった。

 というか、なんだったら俺が引き受けた短剣での刺し傷もエンラジーがやった方が良かったのか北北東の奴の時より早く狩り終わった。

 その後、俺の引き受けていた個体もサクッと狩り終えて、このあとどうするかを話し合った。


 具体的にはここで依頼を終えるかどうかというものだ。

 一応依頼はスネークコング複数体の討伐であり、子連れの可能性が有るとの事だった。そして俺達が討伐したのは親子と別の1匹で合計すれば家族を討伐したと言っても変わりはない。

 しかし俺達全員が残りの岩場にも居ると根拠は無いが直感的に確信していたため、消耗具合などを鑑みてどうするかを決めるためにしっかりと話し合った。


 その結果、1度村へと戻って準備をし直してから向かうということになった。

 誰も疲れてなかったし消耗という消耗をしていなかったが、念のためということでの補給だった。



 村へと戻り、遅めの昼食を軽く済ませ、俺は魔力回復ポーションを作りながらだが各々が体を休める。

 途中エンラジーが俺の作業に興味を示したのか色々聞いてきたが、答えられる範囲で答えておいた。

 流石に魔力回復ポーションの作り方やその材料は何かなんて聞かれれば答えるわけにはいかない。例え質問してきた奴が魔法薬学に明るくなくともこれはまだあくまで試験段階だ、広めるわけにはいかない。

 あと奇妙なことを聞いてきた。俺やクソ野郎は下級生にしては強いが、誰かに師事しているのかとか、そんな内容だ。

 流石に魔王と答えるのは憚れたため師事している奴は居るとだけ答えたが、自棄に詳しく聞こうとしてきていたのが気になった。



 休憩が終わり、いざ東北東の岩場へ向け足を進めた。

 道中何回か戦闘をしたが、昼食直後の腹ごなし程度に終わった。


 そうやって辿り着いた岩場は、元々は採石場だったのか割と人工的な綺麗な断面をした岩が辺りにいくつも転がっていた。

 その中で1ヶ所だけ自棄に整った場所が在った。それはまるで岩を積んで作った家のようだった。


 俺達は互いに顔を見合い、忍び足でその家のような場所へと近付く。そして聞き耳を立てれば中から音が聞こえた。くぐもった声で低い声だったが、それは確実に俺達の扱っている言語と同じものだ。


 もしかしたら人が住んでいるのかもしれない。

 そう思い俺はその家のような場所の玄関と思われる場所に近寄ろうとした。しかし寸でのところでエンラジーに止められた。



 「何をやっているんですか!」



 声は小さかったが、明らかに焦ったり慌てた様子で俺を止めていた。まるでいきなり危険な魔物の前へ無防備に歩き出したかのように。


 不思議に思いつつ、中から人の声が聞こえたと答えれば、怪訝なカオをされたが少し話し合おうと言われ、一旦その場から離れて話し合う事にした。




 キリは悪いですが、執筆に当てることの出来る時間がここまでだったので、本日はここまでということでお願いいたします。



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