脳筋共の会話Ⅶ
身を翻し、突貫してくる前方のルシファーへ向け水の膜は維持しつつ、背中から足許へとその標的が変わった羽が足裏に直撃する瞬間、足裏に分厚い水球を産み出す。
足場にも成り得るこの水球に羽が直撃すると同時に、足裏から全身に向け凄まじいまでの衝撃が体全体を襲う。その衝撃はBランク冒険者が1発喰らって生き残れるかほどの衝撃だ。
水球に羽が直撃するほど水球はその圧力を増していく。増すと言っても、羽により堆積を減らさないために圧縮しているため圧力が増しているだけだが、その都度水球の水分は補給しているため、水の膜により視界不明瞭で魔力関連も大雑把なルシファーにはこれの感知は出来ないだろう。
当たれば当たるほど、というより時間を掛ければ掛けるほど圧力を増す水球を足場にし、今にも水の膜に到達しようとするルシファー目掛けて水球をしっかりと踏み締め蹴り上がる。蹴り上がる瞬間に圧縮し続けた水球の維持を放棄して。
己の脚と水球に溜まった圧力、それに羽による衝撃を用いてルシファーに真正面から迎え撃つように爆発的な速度で跳び上がる。
「なっ、に?!」
「傲るのと油断するのはまた違うだろ!」
どうやらルシファーですら知覚は出来ても肉体が追い付かない速度だったらしいこの跳躍は、そのまま俺の展開した水の膜、ルシファーの三叉槍の穂先を喰い破り、ルシファーの胴体すらも喰い破って、ルシファーの肉体から胴体部分だけを抉り取った。
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