脳筋共の会話Ⅵ
「鬱陶しくなってきたぞ人間!」
常にルシファーの懐へ抱き付くぐらいまで入り込み、両手に短剣を逆手で持って殴る突くを行い、避けられたら短剣がルシファーの肉を裂くように攻める。
それがルシファーにとってはかなり鬱陶しいらしく、傲慢が故にその攻撃がルシファーを苛立たせる。
「人間如きが俺の領域に踏み込んで来んじゃねぇよクソ人間が!!」
ルシファーの罵倒も何処吹く風。むしろ好調と言える。
ルシファーが煽る時は余裕な時。そして罵倒する時は余裕が無いか苛立ち視野が狭くなってる時だ。
これまでルシファーが俺を罵倒することはほとんど無かった。少なくともこんな序盤から罵倒されることは無かった。精々俺がいくらルシファーの攻撃を喰らっても諦めなかったことで苛立ち罵られたぐらいで、こんな風に攻撃で『鬱陶しい』と思われるようなことが無かった。たったそれだけで嬉しくなるが、そこに欲が生まれる。
即ち、このままより追い詰めたいという欲が。
そう思った直後だった。唐突にルシファーが余裕を取り戻し、俺の攻撃があまり効かなくなった。
「ハッ!俺を相手にその欲を出せばこうなるのは必然なんだよ人間!!」
攻撃が効かなくなっただけではなく、むしろ両手首を掴まれ宙へと飛翔され、腹に足裏を置かれてそのまま蹴り抜かれて地面へと落下させられる。
そうすることで生まれた俺達の距離を使って、俺目掛けて火と風と光と闇の特徴を持った羽が無数に迫ってくる。
敢えて体勢は立て直さず背中から落ちて、迫る羽を防ぐべく天へ向け水の膜を幾重にもかなり広範囲に大きく広く張る。
「無駄だ無駄無駄ァ!俺の攻撃を防ぐなら全体を守らなければ意味無いぜェ!」
言葉の通り、張った水の膜に当たる直前に迫る羽が突如軌道を変え水の膜を這うように側面へと移動してきて、結果ルシファーの羽は俺の背中に当たる軌道となった。それを見越してか、かなり残虐な笑みを浮かべたルシファーが手にトラトトのような三叉槍を産み出し突撃してきた。
ココだ。




