指輪Ⅲ
不貞寝した。とは言ったが、起きたのにそれを許してくれる魔王ではなく、そのまま部屋へと運ばれた食事を摂ることになった。
腹立つことに、部屋に食事が届く直前に腹が鳴り、その直後に届いたものだから拒否することも出来ず、結局終始気持ち悪いほどの笑顔をした魔王に見られながら食事を摂った。
「さてサー君、食べたね」
「……さっき否定し損ねたが、そのサー君ってヤツ止めろ。背中を虫が這ってるような気持ち悪さだ」
「酷いなサー君。俺はただ、世界も認める親友への呼び方をしているだけなのにな」
「クソッ!!」
「怒らない怒らない。それはそうとサー…君、たぶんその指輪を手に入れたことでサー君は魔界の魔族の象徴である闇属性を使えるようになったと思う。だからこれからは闇属性の練習もした方が良いんじゃないかな」
またサー君と言おうとしたため殴ったが、簡単に片手で受け止められてそれ以上の反撃をすることが叶わず、指輪のことについて触れられた。
闇属性。魔王の言った通り、闇属性は魔界の魔族と魔王にしか使えない属性だ。それを、その、あー、俺と魔王が親…………親しい友となったから、俺も闇属性が使えると。
「根拠は?」
「俺は本来、創造を除けば闇と光しか使えない。それを他の属性が使えるようになる指輪を属性の数だけ作って填めてる。
でもサー君とのこれが出来たことで、俺は水属性用の指輪を用いなくても水属性を使えるようになった。
指輪に魔力を通すことで指輪が光ったりすることなく、闇や光のように手足のように水を何処ででも産み出せる。
流石に証の指輪を手に入れたのは初めてだから、サー君の死後までこの指輪が使えるのかはわからない。だけどサー君が生きてる間だけは確実に俺は水属性も使えるようになったんだよ」




