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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第七章:魔人創造
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指輪Ⅱ


 「照れるなってサーくぅーん、俺とサー君の仲が本物だって世界に認められただけだろー」


 「うるせぇ!黙れ!クソッ、なんで現れたんだよこの指輪!!」


 「君が俺の首に短剣を突き刺して意識を失った直後からこの指輪は有ったから、意識を失う直前に俺を心から信頼するようなことを思ってくれたんじゃないの?

 信用じゃなくて信頼するようなこと!」


 「~~~~~~!!!!」



 羞恥が過ぎてこの場から1歩でも速く逃げ出したい衝動に駆られるが、体は言うことを聞いてくれないし、例え自由に動けたとしても今の俺が魔王から逃げることは不可能だ。もし仮に魔王から逃げられたとしても、その次に会った時にまた弄られるのは目に見えてるし、逆に俺が魔王を攻めようと初めて会った頃から俺と親友になりたいと言っていたから意味は無い。


 この話題に関しては何をやっても俺の敗け。だから余計に感情のやり場が無くて、身悶え羞恥に堪えなければならないのが嫌になるほどもどかしい。



 人界には昔からとある噂が有る。

 種族を超えて真に仲の良い者達にはその絆を証明する証が現れる。

 そんな誰が言い出したかもわからない与太話だ。


 ただこの与太話は市井も含めてこの世界の誰もが知ってる迷信だ。小さい子供も誰かに聞いたわけでも無いのにいつの間にかこの話を知っている。そんな不可思議な話だ。


 ただ内容が内容なだけに、昔から特に恋人同士や夫婦なんかが互いへとお揃いの贈り物を贈り合う習慣が生まれた。贈る物はお揃いであれば何でも良い。腕輪でも、ネックレスでも、ベルトでも、それこそ指輪でも良い。

 この逸話が理由でいつの間にか大切な相手には贈り物をするという習慣が人界では生まれた。


 正直今の今までそんなものに興味は無かったし、それこそ迷信、与太話、商人の考えた売り文句と思っていた。


 だが、気持ち悪いとも思うが、この右の薬指に嵌まる漆黒の指輪からは魔王の気配を確かに感じる。後ろに居る魔王とは別にだ。

 そして後ろに居る魔王の近くからは水属性の形容しがたい魔力を感じる。恐らくこれが他人から感じる俺なのだろう。

 もしも魔王がその力でそれっぽく見せているわけでは無いのであれば、この指輪は本当にこの世界が俺達の仲を認めた証ということになる。

 非常に不愉快というわけではなく、むしろ嬉しいという気持ちすら覚えてしまうのが余計に羞恥を加速させる。


 後ろからまだまだ俺を弄る声が聞こえるが、それを全て無視して俺は不貞寝した。



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