「ざ……ぁ……み……」
着弾。その部分の身体強化に使っていた魔力が破壊され身体強化が脆くなる。
着弾。身体強化が脆くなると同時にその部分の肉が少し破壊された。
着弾。脆くなった所に当たり立て直す前にその下の筋肉まで破壊される。
着弾。着弾。着弾。着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾────
「あー、やり過ぎた。ごめん」
上から声が聞こえる。魔王へ展開していた俺の魔術は消えたのだろう。そして魔王の展開した破壊の槍の雨も消えたのだろう。そして床に倒れ伏した俺に魔王が近付いて来たのだろう。近くで声が聞こえるためしゃがんで俺を見ているのかもしれない。
「うわ、あれだけ破壊属性の槍を当てたのに原型留めてる。見た目はただの肉塊なのによく見れば抉れてるのは表面の肉だけで筋肉は無事だ。
アレか、肉の表面は諦めて途中から筋肉だけは全力で魔力を過剰に回して守ったのか。
身体強化って技術は体内の魔力の循環速度を上げることで使える。だから体表より体内の方がより強固なのは当然か。
だとしてもこれを堪えたのか。正直気持ち悪いな」
破壊の槍の雨の堪え方は正解だが気持ち悪いとは酷いな。俺の展開した弾幕の層の10倍ぐらいの層で破壊属性の槍を降り注いでおいてよく言う。こっちは死なないようにするだけで手一杯だ。
「意識は……有るけど一切の身動きが出来ないという感じかな。
この様子だと怪我を治してもしばらく動けなさそうだし、ベッドに寝かせに行くか」
そう言った直後に体を暖かい何かが包む。経験上光属性で治療をしてくれているのだろう。
だが、
「あー、身体強化のせいで回復の魔法まで弾いちゃってる。サース、身体強化を止め……いや、今止めたら出血が増すか。光属性の回復は手っ取り早いけどこういう時不便だな……。
仕方ない。サース、身動ぎ出来る程度まで回復したらすぐにポーション飲んでね。そうしたら俺でも治せるし」
そう言って魔王は俺の右腕を手に取り、彼の肩へと俺の腕を回した。
「運ぶよ」
魔王が立ち上がろうとした。
この時を待ってたぜ魔王。
水を産み出し左腕のような形にする。その手の部分は短剣のように尖らせた。
視界は不明瞭だが、耳許で「バッ!」という声が聴こえたため驚かせたようだ。
その水の腕で魔王の視界を誘導しつつ、宝物庫から馬鹿みたいに魔力を籠めた状態で仕舞っておいた本物の短剣を右手に取り出し、水の腕の手首を魔力を纏った左手で受け止めている魔王の首目掛けてその剣先を突き刺した。
「ナッ?!」
確かな感触と液体が手を滴る確かな感触を感じて、しかしそこで達成感により満たされ気が抜けて手から短剣が零れて水の腕を維持することも出来なくなり水の腕も霧散した。
意識も朦朧とし、本当にこのまま死んでしまいそうだと感じつつ、死んでも良いやと魔王が居るから大丈夫だろうという根拠の無い自信を持ちつつ、俺は意識を失った。
「ざ……ぁ……み……」




