「『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!」
「うーん、魔力の量という問題で戦略の幅狭いってのも有るけど、それにしても流石に見慣れちゃったかな」
「そりゃこんだけ戦り合ってたらなァ!!」
この1年と数ヵ月の間に何度魔王に挑んだことか。
何度打ちのめされ、何度殺され掛け、何度死に掛け、その度に何度新しい戦略を模索したことか。
100や1000どころじゃない。10000や100000はとっくに越えた。それだけの作戦や戦略を練って、それを組み込んで、それを全て試して、それでも全てが魔王にとっては小手先の技でしかなく、魔王をその気にさせることも出来ない。
そんな俺の懊悩を、戦い方に限らずその私生活や精神状況にまで踏み込んで過ごしたんだ、俺の一挙手一投足全て把握されていたとしても「だろうな」としか言えない。
だがだからと言って「飽きた」と言われたようにも聞こえる言い方をされれば怒りが湧くのは当然で、
故に。
「『展開』!『掃射』!『動くな』!!」
展開と名付けた魔術で俺達を囲むように何重にも尖端が尖り螺旋に溝が有る槍の穂先を作り出し、その全てを回転、掃射でその全てを不規則に魔王目掛けて発射し、奥の手の『命令』で動きを止める。
「これはサースには似合わないし、それは久し振りとはいえもう慣れたよ」
『命令』も相変わらずというかもはや1秒程度しか拘束出来ないらしい。すぐに動き出し己を覆い隠すように白透明な膜を張って俺の魔術を簡単に防ぎやがる。だが逆に言えば1秒は確実に止められるらしい。
ならば、
「『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!『動くな』!!」




