「照れ隠しで見当違いなこと言うな」
その後も互いの近況を話し合い、駄弁りながら今後の話なんかも話した。
「前にサースが言ってた俺に並ぶってヤツは人族のその短い生命で叶いそうなのかい?」
「お前な……。
……正直、このままだと足りない気がしてる」
「ふぅん?それはまたなんでさ?
サース、君はこの1年で今の人類最強へと駆け上がった。であれば、一生を懸ければ俺に並び立つってことも出来るんじゃないかい」
「魔王、お前のそういう所本当に性格悪いよな。
わかってるだろ。人間の一生程度ではお前に追い付くことは出来ない」
「まぁ、確かに。今のままじゃ無理だよね。最低限寿命を克服しないと俺に並び立つ所までは来れない。来れても足許までかな」
「行けてもソコまでだろうな。仮にその域に到達出来たとしても、その時の俺は恐らく老化による活動限界間近でマトモに今みたいに満足に戦えるかどうかもわからないだろうさ」
「だろうね」
「かと言って、強さ欲しさに人間を辞めるのは違うだろ。結果的に人間を辞めるのなら未しも、自発的に進んで人間を辞めるような諸行をお前が見逃す筈がない。
力欲しさに人間を辞めた時点でお前は俺から興味を失くす。そうなれば本当に一生生まれ変わったとしても追い付けないだろうさ」
「さっすがサース、よくわかってるね」
「魔王。お前が見たいのは俺という個体ではあるが、それはあくまで俺が人間だからこそだ。人間の俺が、弱い俺が足掻く様が魔王の琴線に触れた。だからお前は俺に興味を持った。
ソコが俺達の始まりで、ソコを違えちゃ俺達は終わりだ。
何を不安になって聞いてきたか知らないが、その辺はしっかり理解してるし、元々人間を辞める気は無い。だから安心しろよ」
「…………起きてから随分時間が経ったと思うけど、まだ眠かった?寝惚けたこと言ってるよサース」
「照れ隠しで見当違いなこと言うな」
「サースにだけは言われたくないかな」
「言ってろ」




