▼side Another act1:ウィリアム・パリスの選択ⅩⅢ
「嘯くって……」
「奴は確かに総魔力量は少ないのかもしれない。だが奴の戦闘力は聞くところによれば帝以上らしいじゃないか。
そんな奴が弱者側の人間?ふざけるのも大概にしろ。奴が弱者なら奴以下の奴等は全員が弱者になる。
己の戦闘力の高さを把握している癖に奴は常に己を弱者と捉え、常に強さ以外の何かを求めてる。だから俺様達の事を一向に本当の意味で見ようとしない。
表面的にも奴は傲慢だが、何よりその在り方は表面的な物以上に傲慢だ。
だから俺様は奴が大嫌いだしその存在を認められない」
「あぁ、なるほど。ソコか」
ガラギスはそう呟くと再び天を仰いだ。しかしその表情は晴れやかなもので、引っ掛かっていた物が取れたや痒い所に手が届いたのような物だった。
その事にウィリアムの眉間に皺が寄る。
それを見た訳では無いだろうに、ガラギスはまるでウィリアムに続きを促されたかのように続きを話し始める。
「パリスがサースの事を認められないし嫌いなのはわかるけどさ、俺としては良い奴って認識だったんだよ。
確かに面白い奴かって聞かれれば微妙なんだけどさ、こと強くなるってことに関しては物凄く頼りになるし、何より強くなるのを実感出来る。同い年とは思えないスゲー奴ってのが今の俺のサースの認識なんだ。
だけど何処か気味が悪いというか、たまに俺と話してるのに俺以外の奴と話してみたいなのを感じることが有ったんだよ。
俺達を見てないか……。なるほどな……。
そりゃ確かに向けてる意識の先が俺じゃないんだから違和感覚えるよなー。
パリスのおかげで言語化出来たよ。ありがとう」
「…………キサマもキサマで気持ち悪いな。奴とはまた違った自己完結する奴か」
「ハハハ、かもね。だからパリスほどの悪感情をサースに感じないのかも」
「知らん。時間だ、俺様はもう寝る。しっかり見張りをしろよ」
「もう時間か。早いね時間が経つのは。おやすみパリス。しっかり休んで脚をしっかり休ませなよ」
「うるさい。戯れ言をほざくなら火番に集中していろ!」




