侮辱以外の何者でもない
今回のキラー種が魔族。そう気付けば、なんだか今回の依頼そのものが仕組まれたもののように思えてきた。
あまりにも強引なランクを無視した依頼発行。
以前からの俺の実力を認めているのに一向に上げられないギルドランク。
この2つは両方とも総帝フォルティス・サクリフィスことクソ野郎が関わっている。明らかに作為的な物だ。
そんなことを考えている間にもガラギスは己の考えを口から吐き出す。
「キラー種が相手の筈なのに明らかに実力不足の俺達がこの依頼を充てがわれたのは、そんな横暴をして何も問題が起きないのは総帝様だ。
サース。父上から聞いてるけど、君は次の帝候補でもあるんだろう?だから今回のこの依頼は、総帝様から君への試練の1つなんじゃないかと俺は思うんだ。
もし君が総帝様と面識が有るのなら、君のその強さにも頷け」
「そこから先は慎重に言葉を選べよガラギス・マラベス。場合によっては死体が1つ出来るぞ」
あまりにも不快なことを口走ろうとしたガラギスの首を掴み宙へと持ち上げる。
当然本気ではやってないが、今最後まで口走ろうとした言葉がどれだけ俺にとって侮辱的なのかを伝えるにはこれほどわかりやすいことは無いと思う。
「敢えてここでハッキリと言葉にして言うが、俺は学生の間に総帝を殺すためにこれまでの人生を生きてきた。
今お前が口走ろうとした言葉はそんな俺にとって侮辱以外の何者でもない。だからこれ以上俺の手に力を籠めさせてないでくれよ?」
そう言ってからガラギスの首から手を離した。




