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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第六章:選択
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「劇薬……?」


 村なんかで使う時の野宿用のテントから出てガラギスの呼び掛けに答える。


 それから少し村の端へと移動し、大きい声を出さなければ周りに声が聞こえないという所まで離れたところで、俺達は互いに向かい合った。



 「それで、話って?」


 「急ぐなって。まぁ要件は2つだな」



 そこでガラギスが言い淀んだため、何を言おうとしているかを考える。


 ……このタイミングなんだ、答えはハッキリしてるか。



 「今回のキラー種の異変についてとここに居ない奴等への配慮か?」



 肩を大きく1回震わせたあと、ガラギスはハハハと乾いた笑いを溢した。そして大きく溜め息を吐いたあと、苦笑を浮かべた。



 「みんながみんな、サースのように強いわけでも万能なわけでも無いんだ。あんまり虐めてやってくれないか?」


 「虐めてる気は無いぞ。ただ事実を言ってるだけだ」


 「事実って……。まぁ確かに、俺も父上からキラー種の強さについては聞いてるから彼等の反応について思うところが無いわけでも無い。ただその件に限らず、サースの言い方はそもそも強いんだよ。だからみんな萎縮してしまう。


 サースが実力的に弱いのならまた別の問題が有るけど、実際強い。そのサースがあまりにも強い言葉で彼等にとって厳しいことを言われれば、誰だって反感の気持ちが少なからず胸の内に生まれてしまうんだよ」


 「俺が強いのは努力したからだな。不必要だと思った物を何もかも捨てて、寝る間も惜しんで修行した結果だ。


 ガラギスの言いたいことはわかる。だけど、実際命に関わることは厳しく言い過ぎるぐらいがちょうど良いと思うが?


 勇猛と蛮勇は違うだろ」


 「サースの言いたいこともわかるんだよ。ただな、サースの求める基準が俺達からすれば高水準過ぎるんだ」


 「高水準、ねぇ……。死なない大怪我をしないための忠告の言葉は高水準なのか?」


 「今回の依頼がそもそも高水準過ぎるんだよ。

 今回の依頼はサースを基準に回された依頼だって父上から聞いた。総帝様の命令で、サースが居れば他に何人誰が居ようと難なく達成出来るだろうって。

 でもだからと言ってキラー種案件を平均ギルドランクEの集団にやらせるのは、正直頭がおかしい。


 そんな頭のおかしい難易度の依頼をなまじ請けれてしまったから、キラー種を倒せたから、そりゃ下級生の奴等や普段戦いに身を置かない奴等からすれば調子に乗ってしまっても仕方の無いことなんだよ。


 自覚が無いだろうし、言う奴が居ないように思ったからハッキリ言うがなサース、お前は劇薬なんだよ」


 「劇薬……?」


 「サースって人間は凄いんだよ。色んなことを知ってるし、普通じゃ経験出来ないようなことも経験してる。それに見合った強さを持っていると思えば、魔法薬学の分野や魔法陣学の分野にも明るい。


 総帝様とはまた違った意味で総ているのがサース・ハザードって人間なんだよ。


 そんな凄いものが近くに居て、実際の実力じゃ何も出来ないようなことが出来てしまうのがお前の近くなんだ。

 確か魔法薬学の分野にはエリクサーとかいうどんな怪我や病気も治り、健康状態で飲めば不老不死になれるなんてポーションが有るんだろう?でもそれを飲もうとすればそれこそ人生を賭けても足りず、最期は手に入れることが出来ず力尽きる魔性の薬。


 サース。お前の存在は、まるでこのエリクサーみたいなんだよ」



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