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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第二章:違和感
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班員集合! 礼! 解散!!


 「さて、何か言うことは?」



 俺達下級生組みは風紀会室に呼び出されている。

 ご丁寧に全校生徒が毎朝必ず通る昇降口の掲示板にデカデカとクラス指定された上で誰の目にも止まるほどデカデカと掲示されていた。

 内容は本日の昼休憩の際に風紀会室へ行くこと、行かなければそれぞれの実家に色々報告すること、単位を一切貰えないこと。大きく分けてこの3つが書かれていた。


 流石のアバズレ共も、クソ野郎も、自分達が無断で集まりに行かなかったことや、日頃の態度については思うところが有るらしい。昼休憩になったと同時に走って教室を出て行った。

 かく言う俺も何故呼び出されたのか謎だったが、まぁ放課後でなければ別に良いかと思い普通に風紀会室へ向かい、そして中に用意された椅子に座ったと同時に発せられたのが先程の言葉だ。


 俺の知るアバズレ共やクソ野郎ならいつもならすぐに噛み付いてそうなんだが、なんだかヤケに大人しい。それこそ借りてきた猫のように心なしか体が全体的に一回りぐらい小さくなったかのうような錯覚を覚えるぐらい小さくなってて大人しい。

 誰だコイツ等。



 「おいおい、そこでまるで俺は関係無いみたいな様子のハザード君も彼等と同罪だからね?」



 言われてチャーラルの方を見れば、カオはニコニコしているがなんだかただならぬ雰囲気を醸し出していた。



 「何故俺が同罪なんですか?」


 「連帯責任という言葉はわかるかい?それが答えだ」



 なるほど、連帯責任か。なら仕方ない。


 とは、絶対にならない。

 だが呼び出された理由が連帯責任なのであれば、その原因は間違いなくクソ野郎に有るため、魔王との合作である超濃縮催涙液を霧状にしてクソ野郎とついでにアバズレ共のの目の回りに魔力を使って滞留させた。



 「ア゛ァ゛ッ!」



 クソ野郎達は一斉に目許を押さえて、特にクソ野郎はこれでもかってぐらい上体を背中側に反らせて汚い声を漏らした。


 少し溜飲が下がったのは言うまでもない。



 「ハザード君。君のそういうところが先生達から見たら問題児なんだよ。自覚無いみたいだから指摘しておくけどね」


 「なッ…?!…………じゃあ問題児で良いです」



 連帯責任と言われれば納得はいかないが、クソ野郎やその取り巻き達への態度は確かに問題児と言われても文句が言えないことは自覚していた。でもやっていたのはほとんど特定の個人だし、それもほとんど休憩時間や朝の時間ぐらいで授業の邪魔まではしてなかったから問題無いと思っていた。

 でも、それでもそれが問題行動だと言うのなら、俺は問題児で良い。



 「改めようという気は無いのかい?」


 「チャーラルセンパイは俺に死ねと言っているんですか?」


 「その返しは想定してなかったよ……」


 「今回以降も関わりが生まれるかはわかりませんが、先にハッキリ言っておきます。

 俺は俺がこの隣に座るクソ野郎をぶっ潰すために出来ることなら何でもやります。いわゆるイタズラというヤツも下痢になったり今みたいに目を一時的に辛くさせたりする程度に止めてます。

 俺の命題の為に行う行動が問題行動だと言うのであれば、俺は問題児で良いです」


 「…………なるほど、更正のさせ甲斐が有りそうだね。


 ほら、サクリフィス君達もいつまでもそうしていないで早く話を聞く姿勢になってくれないか?」



 チャーラルはそう言うと、魔力的な何かを使った。彼の属性から考えると、恐らく風属性で滞留している催涙成分を飛ばして、水属性を全員に掛けたってところだろう。


 それでいくらかマシになったのか、そしてやっぱりというか、最初に回復したのはクソ野郎だった。



 「イッター……。サース、本当に暇だよね。よくこんなの毎回用意するよ。あー目が痛い……。


 何か話してたみたいだけど、何話してたの?」



 涙を流し、その目を擦りながら、何が楽しいのかニコニコしながら話し掛けて来るクソ野郎の顔面に裏拳をする。



 「おっと、サースも学習しないな~、いつもと同じタイミングで顔に飛んでくるってわかってたらこうやって防げるよ~。


 で、ホント何話してたの?」



 俺も大概だが、クソ野郎はクソ野郎でアバズレ共が未だ回復せず悶えてるのを心配することもなく、目の前にセンパイ達が居るのにも関わらず俺に積極的に話し掛けて来る。

 センパイ達はまぁ、初対面だからその存在を忘れがちになるのはまぁまだ理解は出来る。出来るが、なんでこのクソ野郎は自分の周りのアバズレ共に意識を割かないんだ?


 まぁどうでも良いか。



 「テメーをぶっ殺してぇって話してたんだよ死ね!」


 「えー?サースが?僕を?そんなの無理だってー!だってサース、昔から僕に勝てた試しが無いじゃん!

 て言うかサース?いつも言ってるけどさ、サースが人との接し方がそういうことでしか表現出来ないのは知ってるけど、すぐに人の悪口言ったり手が出るのは悪いことだっていつも言ってるだろー?学生の間に直さないと大変だよー?」


 「あ゛ぁ?!だったらテメー!今ここで一月前の続きやるかクソ野郎!!」


 「やっても良いけど結果はまた同じになるんじゃない?」


 「ぶっ殺す!!」



 いつもの会話で、いつも通りに我慢の限界を迎え、いつも通りこのクソ野郎をぶっ殺そうと立ち上がり、拳に水の刃を作っていざ目の前のクソ野郎にぶっ刺そうとした時、俺達の距離は急に離れた。


 別に俺が距離を取ったわけでも、クソ野郎が距離を取ったわけでもなく、唐突に俺達の間で何かが弾け、その衝撃で離された。そしてその直後に毛で覆われた腕が目に入った。



 「そこまで。そこまでだハザードにサクリフィス。なるほど君達の関係がどういうものか、僕達にもよぉーくわかった。だがここはこの学園の風紀を守る風紀会の拠点だ。そこで風紀を乱すようなことをしようだなんて、そんなことは僕達が絶対に許さない。


 2人とも、頭を冷やすんだ」



 チャーラルのそんな言葉が聞こえた直後、頭の周りに水の膜が張られた。当然その中で呼吸が出来るわけもなく、怒りで興奮していた俺の体はすぐに酸素を求めて悶え始めた。


 幸い使われたのは水属性で、つまり俺の属性だ。だからすぐに支配権を乗っ取り顔から外したあと、今手元に有るクソ野郎へのイタズラ用溶液を奪った水球に混ぜて、クソ野郎の水球と合体させた。


 そこで乗っ取った支配権をまたチャーラルへと返し、俺は何事も無かったかのように椅子に座り直した。


 当のチャーラルは色々と表情を変えていたが俺と視線が合うとクソ野郎の方を一瞥し、タメ息を吐いて、また俺へと視線を戻した。



 「君達の班は元々素行不良の生徒達で組まれた班だ。素行不良の理由はそれぞれ違うが、そんな君達を厳しく指導し更正させるのが今回僕達風紀会に課せられた学校側からの指令だった。

 だけどどうやら、そもそもこの組み合わせが1番の問題だったようだ。


 更正指導と一月後のギルド依頼の件で呼んだけど、仕方ない。ハザード、特に君はもう帰って良い。昨日の君の様子と今回のことで、君はとある事が関わらない限りは普通の生徒とそう変わらないと判断した。だから君についてはもう言うことは無い。こちらで対応しよう。


 そして未だに目を押さえてる令嬢達についてはもはや言葉が出ない。残念ながら正確に学園からという形で君達のご実家には連絡することになるだろう。


 そしてサクリフィス。どうやら1番の問題児は君のようだ。だから君にはこれから可能な限り風紀会の者が付く。覚悟してくれ。


 班については一旦文字通り解散して先生達や他の上級生達に掛け合って改めて組み直す。全員が全員違うチームになるのは確定だから覚悟するように。

 当然だがサクリフィスだけはこのまま僕達の班だ。異論は認めない。良いね」



 その言葉を皮切りに、俺達の班は解散した。

 俺にとっては最高の結果になったが、じゃあどの班に組み込まれるのか。それはわからず、仕方がないから早々に教室へと戻りこの事をレオポルドとストゥムに話そうと思った。




 この後どういう動きが有ったのかは今章最後の幕間にて。



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