ウィリアム・パリスの訓練Ⅳ
そしてどうしようもない理由は……、
「な、何をする?!や、やめろ!!」
座り込んだウィリアム・パリスの足首を掴み、持ち上げる。普通に痛いと感じるぐらい強く。
しかし痛みを感じてる様子は無く、しかも手に伝わる感触は人間の肉を掴んだ感覚ではない。
ウィリアム・パリスの脚は、少なくとも足先は義足だった。
「こういう事なら確かに仕方ないが……、もう少し自分でどうにかしようと思わないのか?」
「俺様は貴様等と違って知的なんだよ……」
「言い訳は良い。この事について知ってる人間は?」
「……家族も知らない」
「よくバレてないな」
「心配させたくないからな……」
「なぁハザード、パリス、2人は何の話をしているんだ?」
俺とウィリアム・パリスとの話にガラギス・マラベスが割り込んで来た。
何の事かわかっていないみたいだから、掴む足首を掴むようガラギス・マラベスに促す。
怪訝なカオを浮かべながら促されるまま掴むと、怪訝なカオから驚いたカオへと変えた。
「こういうことだ」
「そんな、嘘だろ……?パリスお前……」
ガラギス・マラベスが喉を鳴らす。
それを流し、ウィリアム・パリスの今後について考える。
流石にこんな問題が有れば動けないのは仕方ない。だからと言ってこいつが走れるようになるまで面倒を見る必要は無い。理由が理由なため、教師達に説明すれば参加させないことが出来るだろう。
それを踏まえて、
「お前はどうしたいウィリアム・パリス?」
「何の話だ」
「ハッキリ言うが、お前が走れるようになるまで面倒を見る必要が完全に無くなった。お前が走れない正当な理由が出来たからな。お前を外せば俺達の班はそれで問題が無くなるからな。
その上で聞くが、お前は頑張る気は有るか?」
「言いたい放題言いやがって……!」
「そういうのは良い。やる気が有るのか、無いのか。どっちだ?」
「………………」
ウィリアム・パリスの本格的な訓練は、翌日からやることに決まった。




