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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第六章:選択
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ウィリアム・パリスの訓練Ⅲ


 どんな奇跡と呼べる確率を積み重ねればこれほどの芸術と呼べそうな珍事が起こるのか不思議でならない。


 話を聞いた時は笑いそうになったが、これは笑う笑わないではなく『何故走ろうとしたらこうなるのか』の原因究明をする方が俄然やる気が出る。

 最初は最悪走れないなら捨て置くか囮にするかそもそも参加させないつもりだったが、そんな理由とは関係無くウィリアム・パリスを走らせたくなってきた。



 「立て。それで俺が良いと言うまで走れ」



 抗議しようと顔を歪め叫ぼうとしたその顔の横にナイフの形にした水の刃を飛ばして脅す。

 それを背後にいくつも作り、こちらの本気度を伝える。


 そうすれば黙り、悪態を吐きながらもウィリアム・パリスは何度も走ろうとした。



 何度も転け、何度も芸術的と言える奇跡を起こし続けるウィリアム・パリスの所行を見ていると、何故奴が上手く走れないのかがなんとなく見えて来る。


 まず1歩目には何も問題は無い。つまり走り始め事態は問題が無いわけだ。

 続いて2歩目3歩目も問題は無い。問題無く脚を前へと出せている。


 問題は4歩目からだった。

 4歩目から3歩目の脚に4歩目の脚を引っ掛けるか、4歩目に出した脚の足裏が地面を擦りそれで地面に脚を引っ掛け転けていた。


 その後の靴やズボンについては訳がわからないが、少なくとも転ける原因はなんとなくだが見えた。

 だからウィリアム・パリスに走るのを止めるように伝え、俺の出した『転ける理由』を伝えた。



 「……そのぐらい、自分でもわかっている」


 「何故引っ掛かるのか心当たりは有るか?」


 「…………心当たりが有ればなんだよ」


 「心当たりが有るなら何故改善しようとしないのか、その事が甚だ疑問だが……、改善はお前のやる気で改善される問題か?それともどうしようもない理由か?」


 「どっちでも良いだろう……」



 そう言うとウィリアム・パリスは疲れたとばかりにその場に座り込んだ。まるで今日はもうこれ以上動かないとでも宣言するかのように。


 それでなんとなく、さっきの俺の質問の答えは両方なのだと察しがついた。そしてやる気の問題の方についてはそのままやる気の問題なのだろうと。



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