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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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▼side Another act4:ウィリアム・パリスのお仕事Ⅴ


 「はい、お疲れ様。1週間分のお給金に追加で、バレなかったから更に1週間分、合わせて2週間分のお給金ね」


 「ありがとう、ございます……」



 1週間、ウィリアムは女装していることに気付かれず仕事を完遂した。

 その間彼が感じた精神的疲労は凄まじいもので、終わった直後の今はまるで口から魂が抜き出ているかのように机に突っ伏していた。

 目の前に置かれた通貨の入った袋だけは盗られないようにと力強く握っているが、その場からそれ以上動こうとはしなかった。



 「しばらくはそうしてても良いけど、1刻経つまでには出てね。じゃないと貴方の荷物は全部処分するから」


 「慈悲は無いのか……!」


 「1刻も有れば回復するでしょ。文句ばかり言わず、貴方はもう少し素直に他人の言うことを聞いた方が良いと思うわよ。


 改めてお疲れ様」



 そう言って1週間彼を担当した女性職員は部屋を出て行った。


 それから1時間ほど経ってから動ける程度まで回復したウィリアムは身支度をして、掴む金袋は服の中に仕舞って、女性職員の言葉通り1刻以内に部屋から退出した。


 ギルドから出る直前、ウィリアムはそれぞれ赤色と茶色のローブで体を隠した人物達に追い抜かれる。しかし彼等が醸し出す雰囲気とそのローブ姿の意味を知る彼は息を呑み固まった。


 何をするのか、ギルドから出て行った彼等の後を追ったウィリアムは、彼等がギルドの入口横の掲示板に何かを貼っているのを見た。

 周囲の人々もローブで体を隠した彼等が何を貼っているのか見守っている。


 貼り終えると振り返り、茶色のローブの方が大きく宣言した。



 「先代総帝が殉職した!詳しいことは今貼った物を読んでくれ!!」



 それだけ言うと帝達はギルドの中へと戻って行った。


 帝がギルドの中へと入ると、止まっていた時間が進み始めたかのように周囲の人々は掲示板へと張り付き、そこに書かれたことを読もうと群がる。

 ウィリアムは掲示板から近い位置に居たため、比較的早くその内容を把握出来た。



 『先代総帝殉職!行動を共にしていた水帝の説明によると激しい戦闘終了直後に魔物の不意打ちにより即死。

 遺体はギルド裏の集合墓地に埋葬する。葬儀は行わない。

 献花などは皆の自由にしてほしい。


 先代総帝よ、どうか安らかに』



 時代は更に進む。





 

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