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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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▼side Another act1:気付かないⅡ


 3日後水帝は転移でサクラ共和国の首都へと帰還した。

 元々サース達学生のために不足の事態が起きない限り新ダンジョンの調査は長期休暇終わりの2日前までと期限が決まっていた。そのためまだ時間的余裕が有る。早く終わった時は誰にも報告せずそのままギルドの帝達しか出入り出来ない部屋へと転移するという話になっていたため、彼女はそこに転移した。


 そこはいつも帝達が集会や会議をしていた部屋だった。

 ちょうど会議中だったようで、水帝は先代総帝の亡骸を抱えたまま外の帝達の前に姿を現したことになる。


 炎帝、土帝、そしてフォルティスの3人は、最初こそ水帝の登場で無事帰還したのだと喜んだが、すぐに先代総帝の姿が目に入り、視線が鋭くなる。


 代表して口を開いたのは炎帝だった。



 「何にやられた」


 「…………私達って何処で間違えたのかしら、ね?」



 水帝の口から彼女達の任務について出たのはその言葉だけで、すぐに「悪いけど1週間ほど放っておいて」と言って転移でその場から姿を消した。


 残された先代総帝の遺体と水帝の焦燥した様子にただならぬものを炎帝達は感じた。


 そして土帝が代表して先代総帝の遺体の検分を始める。



 「細かい傷は沢山有るが、全部命に届くようなものじゃない。首への一閃で落ちてやがる。しかもどうやら大剣なんかの刀身が厚い刃物による一閃だ、肉の削り幅が剣と比べて広い。


 ……殺ったなあのクソガキ」



 土帝の体から魔力が漏れる。

 先代総帝を殺したのがサースだと判断したらしい。


 炎帝は土帝の検分を聞く前から、水帝の残した言葉により何が起きたのかをある程度察しがついていた。

 だからこそ目を瞑り先代総帝へと追悼した。


 炎帝に土帝。この2人は先代総帝の死を嘆き、悲しんだが、この場に居る最後の1人は終始無言だった。


 寝ているわけではない。話を聞いていなかったわけでもない。ただ彼等の話を聞いて、静かに頭を動かしているようだ。


 そして炎帝と土帝の感情の整理が一旦ついたところで、現総帝フォルティス・サクリフィスは口を開いた。



 「彼を殺った者については『ワタシ』に任せてほしい」



 それはとても強い言葉だった。

 そして、立場有る者としての言葉だった。


 炎帝と水帝と土帝3人の教育の賜物でフォルティスの公的な場での一人称は私になっていた。英語で例えればIやmyだろうか。


 だから誰も気付くことはなかった。

 フォルティス・サクリフィスの顔付きが変わったことを。



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