▼side Another act1:悲嘆
水帝は先代総帝の亡骸を抱えた状態で人界へと戻ってきた。
今の水帝の精神は為政者や戦う者としてのモノではなく、普通の女性と変わらない精神状態だった。
水帝は魔力を使えるようになった頃から強かった。それこそ帝に勧誘されるまで、何に於いても敗け無しだった。
それ故に彼女は自然と『自分は他とは違う』と思うようになり、敗北を知ってからは『上には上が居る』ということを知ったが、それはそれ。帝候補になり先代水帝に着いて回るようになってからも凡そ『一般的な普通の女性』としての感性は持ち合わせていなかった。
そんな生い立ちを持つ彼女だが、だからこそだろうか。国や世界というものに愛着を持つようになった。そして同じ帝達は家族のようだと感じていた。
当然家族の中でも折り合いが合わない者は存在している。だが、それでも彼女にとっての『掛け替えの無いもの』は帝達でありサクラ共和国であった。
サースを紛いなりにも帝の仕事をするように誘導出来た時は、家族を守れると喜んだ。その筈だった。
しかし、
「どうしてよ……。なんでこんなことになったの……。彼を勧誘したのは間違いだったって言うの……」
悲嘆を漏らしても返答は無い。当然だ。今彼女が居るのは魔王が創った荒野が広がる何も無い戦うためだけの大陸だ。他に生物なんてものは存在しない。
家族の亡骸を抱え、何も無い荒野に独り。転移出来るだけの魔力は有るが、その転移を使えるような精神状態ではない結局サクラ共和国に帰ることすら出来ない。
彼女はその後3日間、何も無い荒野で悲嘆に暮れた。




