大山ダンジョンⅩ
「それで、お前は何を知りたいんだスァールァドーク。
お前が俺の求める物について教えてくれたら俺もお前の聞きたいことに答える。
それで一旦手打ちにしないか?」
「君は随分自分勝手なんだね」
「俺が自分勝手ならお前も自分勝手だろ。自分の都合で相手を思い通りにしようとしたんだからな」
「……話が進まない。良いよ。君の提案通りにしよう」
そこから俺達は一問一答で互いに質問し合った。
俺からの質問は当然左腕を再生させる方法だ。
これについては具体的な話は聞けなかった。というのも、そもそもスァールァドークに薬学的な知識やそもそも治療という概念がスァールァドークの中に存在していなかったため関係する知識を持っていなかったからだ。
まぁこれについては最初から予想していたため最初から諦めていたが。
代わりに、スァールァドークの見えない何かに関する知識だった。しかしすぐにこの知識を学術的に論理的に理解するのは無理だと判断したため、これからここに何度か訪れて教わることになった。
スァールァドークから聞かれたのは俺からすれば他愛もない、俺、延いては人類の生活についてだった。
スァールァドークは魔物や動物のような奴だった。だから人間というものをよくわからないらしく、故に存在は知っていたが、これまでも訪れた人間に色々聞いていたらしいが、まぁ、あの接し方だ、聞ける筈もない。
だからこれまでスァールァドークは人間への興味は有れど知れずに居た。だから彼は『人間』というものへの関心が物凄く有ったそうだ。




