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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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大山ダンジョンⅥ


 俺の攻撃が届かないのなら、そして相手の攻撃だけが届くのなら、避けられないように攻撃をすれば良い。


 スァールァドークからの攻撃を成すがまま喰らいながらトラトトの能力で湖の水と水の腕の水を操り、更には空気中の水分から俺の魔力で発生する水まで含めて操り、その水でスァールァドークを包む。



 「これ、は……。その武器の力かな。面白い武器みたいだね」



 そう溢したのを最後にスァールァドークは水に沈んだ。


 そうしたことでようやくわかったが、どうやらスァールァドーク本来の姿というのは俺が見ていたものではなかったらしい。


 水の中に犬科の特徴を持つ透明な高さ5メートルは有りそうな何かが圧殺しようとする俺の操る水を妨害していた。

 スァールァドークはその何かの腹、というか心臓部分辺りにその姿が固定されているようで、散々俺を掴んでいたのはその何かの腕だったらしい。


 より詳細に構造を知るべく圧力を掛けてみれば、どうやらその手は人間の手のような構造をしていて、その指先1本1本が更に小さい腕になっていた。


 足の指も手の指と似たような構造で、どうやら足の外側側面に沿うように何か長い毛のような物が付いていた。


 頭は犬のような構造だがどうやら目は普通の眼の構造ではなく、眼球の収まる眼窩は人間で言えば骨のような物で覆われていた。

 牙と呼べる物は有るが、犬や狼のような牙ではなく犬歯がかなり大きく肥大化した牙となっていた。


 尻尾はよくわからない。断尾という感じではないが、どういう訳か尻尾にあたる部分で消えたり現れたりしていた。


 水に閉じ込め、トラトトから伝わる操る水が得た感触を基に頭の中で見えない何かを把握してみれば、化け物と言うしかない体をしていた。


 そしてどうやら水を圧縮し拘束と圧殺を行おうとしてみれば、実際拘束は出来たがそれ以上圧を掛けることはどうしても出来ず、その犬科の体の中であればスァールァドークは自由に動けるらしく、本当に拘束したとは言えなかった。


 俺の攻撃は届かず、ダンジョン産だったり俺の魔力から産み出したりと純粋な水ではないが水での拘束はそれ以上のことは出来ない。攻め手に欠ける俺が、次はどうするかと考えていると、唐突に目の前からスァールァドークの姿が消える。犬科の見えない何かも一緒にだ。


 そして再び肩に手を置かれる感触がした。今度は左肩だ。


 トラトトを振るい俺の死角に居るであろうスァールァドークへの攻撃を試みる。

 右回りに背面へ遠心力を乗せて。


 しかし腕を強く握られた。そのあまりの膂力により一瞬トラトトを握る手から力が抜け、その一瞬でトラトトを奪われた。


 当然俺の手からトラトトが離れれば俺の水の支配権も無くなる。

 大量の水を操る者が居なくなったことで自由落下を始め、地面に落ちた大量の水により湖の底へと押し流された。



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