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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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大山


 約束の1週間前に魔王は現れた。

 その時の彼はとても幸せそうで、何より明らかに浮かれていた。だから落ち着くまで無視をしたかったが、魔王は一言、「ダンジョンに行くよ」とだけ言って来て、その直後には何処かのダンジョンの入口の前に居た。



 「ここは?」


 「恐らくサースが今1番欲しいであろう物が手に入るかもしれないダンジョンだよ。しかも場所はサースの居るサクラ共和国からでも見えるあの大山の山頂付近さ」



 サクラ共和国からでも見える大山とは、サクラ共和国、マハラ帝国、アカバ王国の国土を仮に横並びに配置した時、直径が恐らくその横幅のおよそ3分の2ほどの大きさが有る、サクラ共和国首都と廃城とからなる二等辺三角形の頂点に位置する場所に在る山だ。


 昔から資源の宝庫などと言われて来たが、そこに到達するまでに存在している魔物が強過ぎて、未だここに辿り着いた者は居ないと言われている秘境。それがその大山だった。


 資源の宝庫と言われている大山だが、それ以外にも様々なことがこの大山では噂されていた。


 曰く、食べれば不老不死になれる果実が山頂に在る。

 曰く、死者すら蘇る霊薬の素材が存在している。

 曰く、大山には主が居る。その主の縄張りが大山で魔物達はその縄張りを避けるように縄張りを作っている。

 曰く、曰く、曰く。


 とまぁ、こんな風に夢想渦巻く前人未到の地がこの大山だ。



 話は前後したが、魔王の俺が今1番欲しい物という言葉が何かに触れよう。

 結論から言えば、俺が今欲しい物は副作用無く肉体を再生出来るポーションまたはその材料だ。


 四肢欠損や半身麻痺や全身麻痺なんかの何を用いても健康体に快復することは不可能と言われる怪我や生まれ持ったものというのは当然存在している。

 しかしだからこそ未知の場所にはそれ等を叶えるのに必要な物が眠っていると語られるのは人間の性質だろう。


 光魔法を極めれば、死んでさえいなければ失った血まで含めて再生出来るというのは、この身を以て魔王により実証されている。この魔法による再生も元々は『光属性であれば死んでさえいなければ再生出来る』という妄想も、元々は夢想の1つだった。


 夢想の1つが現実に存在しているんだ、だから俺は、魔法やポーションを用いてもどうにもならない状態から快復出来るポーションを作ろうとした。


 しかしたかが1週間にも満たない数日程度ではそんな秘薬を作り上げることなんて夢のまた夢だ。当然出来る訳が無かった。

 そして現実的に考えて、腕試しも兼ねて、昔から夢想眠る大山の探索をしようかと考え始めていた時に現れたのが今回の魔王だ。


 まさに『魔を統べる王』の名に相応しい甘言だ。



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