4分の1
体感1時間が経ち、ようやくイギライアは落ち着いた。
イギライアは水帝から離れると右腕を動かしこう伝えてきた。
『あなたの提案を受けようと思う』
『……良いのか?』
『心の何処かではどうにかしないとダメだとは思ってた』
『でもやっぱり怖い』
『だから、彼の鱗、受け取ります』
泣いて心の整理が少しついたのか、先程までは何処か怯えたような生気のあまり感じられないものだったが、その目は力強いものになっていた。
だから改めてラウムの鱗を差し出す。
彼女は右腕で鱗を掴む。だが力が足りないらしく、それを地面へと落としてしまう。
鱗を拾い、彼女が腕を伸ばさなくても良いように近付け渡す。
彼女はそれを抱えると『ありがとう』と伝えて来て、そのままラウムの鱗を食べ始めた。
水帝はその様子に目を大きく見開いて驚いていたが、1枚をまるごと食べ終える頃には黙って食べる様子を見つめていた。
それから、持っているラウムの素材全てを取り出し、イギライアに渡していく。
そしてそれ等全てを食べ終えると再び『ありがとう』と伝えて来た。
食べ終えると彼女の腕や脚の皮膚が再生しているのか腕は羽毛に覆われ、脚は鳥の鱗に覆われた。
『改めてありがとう』
『あなたのおかげで核だけは再生出来た』
『核……?』
『核』
『さっきまでの私は本来の核の大きさの4分の1ほどだった』
『あなたが彼の一部をくれたことで核本来の大きさまでは回復出来た』
『あとは……、彼の翼と角、彼が私から持って行った力の象徴を取り戻せば自然と私は復活する』
『……そうか。採って、来ようか?』
『要らない』
『核だけだけど、私は核が完全に無くならない限り失くならないから』
『……そうか』




