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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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左腕の応急措置


 理由は無く、一応という理由で先代総帝だった物を指輪へと回収し、俺は噛み千切られた左腕を取り出す。


 断面を見れば強力な顎の力で噛み千切られたのだとわかる断面をしており、同時にその断面の肉が少し溶けていた。つまりあのイモムシの口には酸性の毒か何かが有ったのだろう。この場合蟻酸に近いのかもしれない。


 当然左腕が在った部分の断面はポーションで塞がっていて、その先がカサブタになっているから恐らくこのカサブタが酸性毒の成りの果てだろう。


 俺の左腕だった物を見る。

 魔王曰く、この世界には今のところ明確には無いらしいが、呪いというものが存在しているらしい。


 それは人や土地に害を為す物であったり、死んでも残る怨みが形になったものであったり、誰かを殺したいだとか憎むとかそういう強い負の感情だったりするらしい。


 そしてこの呪いや呪いに限らず強い想いの乗った物を呪物という言うらしい。広い意味で言えば魔物の素材なんか呪物の塊なんだとか。


 つまり目の前に在るこの俺の左腕も、ある意味では呪物と言えるだろう。


 魔王曰く、呪物から生まれる物は大抵が強力な力を持つ代わりに何かしら所持者に悪影響を及ぼす物になるらしい。


 ……………………。



 「今考えることじゃないな……」



 頭を振ってその先を考えようとしていた思考を振り払い、鉄とクッション性の高い皮を取り出して地面に寝転がる。

 そして未だに残る左腕を上げ、その塞がった傷口に皮を被せ、その上から取り出した鉄を当てて魔力を流す。

 刺すような痛みを感じつつ魔力を流し続けて、感覚的に魔力を流し込める限界まで流す。流し終えると左腕の先が光り、光が収まるとそこには左腕と一体化した短剣が在った。イメージとしては短剣の柄部分が腕に刺さってる感じだ。

 短剣には鞘として内側が革で周りを腕の太さと同じぐらいの太さの鉄で覆われている。これで片腕で地面に着いてバランスを取ることが出来る。



 これからの戦闘の応急措置を終えたタイミングで水帝が戻ってきた。


 先代総帝の亡骸を捜してか顔を動かしたあと「彼の遺体は?」と聞いて来た。


 指輪に仕舞ったことを伝えると「そう……」とだけ言ってきて、彼女が歩いてきた方向を指差した。



 「あっちに魔法陣が在ったわ」


 「そうか。じゃあ、行くか」



 それ以上の会話は無く俺達は水帝の指し示した方向へ進み、実際に在った魔法陣に乗り転移した。


 転移した先は真っ白な空間だった。

 その少し先に椅子が1つ在った。そこには髪も肌も服も白い10歳前後ほどの少女が足を抱えて座っていた。



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