ダンジョンの特徴
辿り着いたそこは、これまでに何度も見た洞穴だった。
場所は山の中腹と周囲の環境は違うが、どうやらダンジョンというものは必ず洞穴が在り、その奥に転移魔法陣という形らしい。
この形が通常的な形で、もしかしたらその周辺一帯がダンジョンという可能性も無くはないだろうが、この洞穴に魔法陣の組み合わせはダンジョンだという証拠と断言して良いだろう。
指輪からメモ帳を取り出しその事を書き記したあと、後ろで息の上がっている先代総帝と彼に抱えられた水帝へと声を掛ける。
「取り敢えず今日はここで一旦解散だ。明日の朝またここに集合して、その時に攻略を始める。
勝手に入っても良いが自己責任でな。勝手に入って死んでもそれは忠告を聞かなかった奴の独断だ。勝手に入って勝手に死んでろ。
そういう訳だから俺は先に帰る」
言いたいことを言って、転移で廃城の寝室へと戻る。
この移動の間に知ったが、どうやらこの廃城の謁見の間へと通じる道以外は通れなくなっていた。正確には何かしらの認識阻害の魔法が掛けられてるのか、目的地へと辿り着けなくなっている。
魔王に由来する魔道具を身に付けておけば問題なく通れたから、十中八九魔王の仕業だろう。
寝室に着いてからは一晩悠々と過ごした。
といってもやることは謁見の間で魔王を想定した戦闘訓練であったり、ポーションの追加であったり、今の俺に必要そうな魔法の開発だったりだ。
そうやって一夜を過ごし、翌日。
集合した俺達は朝の挨拶程度に言葉を交わし、ダンジョンへと入る。そして転移し、転移した先に映った景色は何も無い平原だった。
何処までも続く黄緑色の平原。所々に花が咲き、兎や馬や亀なんかの動物類に加え、飛蝗や蟷螂なんかの昆虫類が花の葉なんかを食べていた。




