それぞれの出立
今、俺、水帝、先代総帝は門の外で門と向き合うように、炎帝、土帝は門の外で門を背に向かい合っている。
俺達が出立しようとした所に走って他帝2人が現れたというところだ。
「結局最後まで聞かなかったけど、次のダンジョンは何処に在るんだいサース君?」
挨拶もそこそこに、一通り話し終えたタイミングで炎帝が聞いてきた。
水帝と先代総帝も気になってたとばかりに顔を向けて来たため、肩を竦めて大雑把な方角だけ話す。
「方角だけを言えば旧首都方面だ。それがあの廃城なのか、それとも更にその先に在るのかはわからないが、この前のダンジョンがこの首都の北門から約5日だったからそれ以上は掛かるだろうな」
「何故ダンジョンの場所がわかるのかは……」
「あんたなら理由がある程度わかるだろ」
「そういうことだよな……」
肩を落とし落ち込んだ様子を見せた炎帝だったがすぐに頭を上げ、水帝と先代総帝へと激励を送った。
土帝も炎帝に続いて水帝と先代総帝へと激励を送ったが、俺には何も無かった。
1週間前の戦り合いで土帝の俺への態度は物凄く固い。というか完全に嫌われたという感じだ。見方を変えれば拗ねてるか距離感を計りかねてるか、そんな様子だ。
まぁ、激励が欲しいわけでは無いし、そもそも土帝の様子がどうしたという感じだからどうでも良い。
帝達の会話が終わったところで何も言わずに帝達に背を向ける。
それだけで俺の意思は伝わったらしく、会話もそこそこに切り上げた。
「取り敢えずまずは旧首都の入口まで転移で移動する。そこでどの方角へ進めば良いかを確認して、そこから本格的な移動を始める。
先に行く。遅れれば置いて行くからそのつもりで」
言いたいことを言って転移する。
そしてコンパスを取り出し方角を確認する。
方角は廃城の方を指していた。
ダンジョンの場所が廃城内なのか、その先なのかは定かじゃないが、もしかしたらこの旧首都が再び栄えるかもしれないと思い、廃城を眺める。
ここにも約1ヶ月振りに来た。
廃城に変わった様子は無く、廃城なのに厳かな雰囲気で威圧感を相変わらず放っている。
そんな風に物思いに耽っていると、水帝と先代総帝が転移してきた。
「来たな。じゃあ走るぞ」
水帝が若干既に疲弊しているかのように見えたが、それを無視して、取り敢えず廃城を迂回するルートを走り始める。
その後ろを少し遅れて水帝を抱えた先代総帝が走っていた。
何故そんな体勢なのかは定かじゃないが、本人達が良いのならそれで良いだろう。
それから3日ほど、転移してきた場所から見て廃城の方角その先へと走り続けた。




