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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第一章:彼との馴れ初め
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俺には親友だと思われてる奴が居る


 今話、一部不快な描写がございます。

 予め御了承の上ショックシーンに備えてください。




 俺とマー君の仲が嘘偽り無い仲だと言うことは先程の説明でわかったと思う。


 それを踏まえて、今度は俺と親友同士だと思われてる奴の話をしようと思う。



 俺の親友だと思われてるクソ野郎の名前はフォルティス・サクリフィス。もしも俺達の関係に名前を付けるとしたら、それは幼馴染みという言葉しか当て嵌まらないだろう。少なくとも俺にとっては。


 フォルティス・サクリフィスを一言で表すとしたら、世界に愛された男だ。もしくは神から愛された男か。

 奴はそのルックスから地頭やら魔力やら身体能力やら、そういったありとあらゆる物が生まれた時から他人より優れた存在だ。


 具体例を挙げてみよう。

 現在俺達の年齢は17になるんだが、その平均的な魔力量は約3000~4000ほどと言われている。この数字は過去に魔力計測器なんて物を発明した研究者が居たんだが、その話は置いておく。肝心なのは、この平均である3000~4000という数値に対して、奴の魔力量は凡そ大人の平均の100倍。大人の平均はだいたい5000~10000のため単純計算で奴の魔力量は100万も有ることになる。なんだそれ。

 他にも奴は特別だ。基本の4属性全てを奴は扱える。それに加えて、特殊の破壊まで使えるから凄いなんてもんじゃない。


 そうそう、このサクラ共和国の頂点に居る総帝。この今代の総帝様は基本の属性全てを扱えて、その上特殊の破壊属性まで使えるらしい。

 もうわかったと思うが、今代の総帝は今年16のガキで、俺の幼馴染みのクソ野郎だ。


 さて、じゃあ今度は何故俺が奴のことをクソ野郎と呼ぶのかを説明しよう。

 俺が何故奴のことをクソ野郎と呼ぶのか、それには大きく分けて3つの理由が有る。


 1つは単純で、要するに嫉妬だ。俺は奴と違って逆に落ちこぼれと呼ばれる部類の人間だ。

 ルックスは並み。地頭はまぁ個人的には奴より上だと思ってるが、魔力量は平均の3分の1。つまり1000だ。身体能力はソコソコ有ると自信を持てるが、属性は大抵の奴が平均2つは持ってるのに対して水の1つだけ。小さい頃は何かにつけて奴と比べられてた。

 そんな環境に居れば自然と湧いてくる感情は「なんでアイツだけ」、「なんでアイツばっかり」、だ。

 今はだいぶ整理ついたからそんなに気にして無いけど、それでもやっぱり未だに思う。


 1つは奴の俺を除いた周りの人間達、特に女共だ。

 奴はそのルックスだけで非常にモテる。これでもかってぐらいモテる。そんで本人も生半可な優しさを持つ奴だから困ってる奴が居たら助けずにはいられない。そうして顔の良い優しくて強い男に助けられた女共がどうなるか?答えは簡単、惚れる。それはもう最早そういうコメディかと思うほどコロッと惚れる。

 まぁここまでは良い。いや良くないが、ここまではまだ許容範囲だ。許容範囲外になるのはここからで、奴はモテる。複数の女共からモテる。で、女共は奴を独占したいわけだ。じゃあ何が起こるか?これも答えは簡単、醜い争いが始まる。

 そして問題は、この醜い争いの対象が男であり奴と距離を置きたい俺にまで波及する。

 具体例を挙げよう。女共が奴を独占したくて奴に群がる。奴は中途半端に優しいから、ちゃんと女共の相手をしながら、しかし何かにつけて俺の名前を呼んで俺に絡もうとしてくる。そうするとどうなるか。女共は俺に怒りを向けて、暴力という形で報復してくる。そして最後にはいつもこう言う訳だ。「フォルティスに2度と関わらないで」。それが叶うなら地べたに頭を付けながらクソの付いた靴底舐めるぐらいなら喜んでやってやる。

 だがそうやって距離を置くと、女共の要求を言うと必ず奴は決まってこう言うんだ。「あんなに優しい彼女達がそんなこと言う筈がない!サースはなんでそんな詰まんない嘘吐いてまで彼女達の尊厳を貶すんだ!」。そうして奮われる拳。殴られた俺の頬は毎度腫れ上がって、腫れていないことがないのが常になった。

 そんで殴られて腫れ上がったままの放置して翌日になると、頭がおかしいのか奴は心配そうなカオをしてこう言うんだ。「その腫れどうしたの?!誰にやられたの!!?」。頭湧いてるのかと。

 「お前にやられたんだよ死ね」と返せば奴はまた怒って俺を殴る。そんでそれも忘れて、以下無限ループ。

 誰がそんなDV野郎と仲良くしたいかよ。

 で、俺が全く関係無くても、女共に近付くなと言われてそれを守ってると、奴は落ち込む。それを見た女共は色めき立ち、そんで奴に奴が落ち込んでる理由を聞く訳だ。で、その内容が例えどんな内容だろうと関係無く俺に文句を言うんだ。「なんでフォルティスを無視するのよ!」。「フォルティスが落ち込んでるのは理由に関係無くお前が原因だから責任取れ」。お前達が言ったんだろ。内容関係無くとか頭湧いてんのか。


 そして最後の1つは当然奴自身。理由は……もうわかるよな。

 他にも一杯有る。でもそれ等も『権力』って暴力で揉み消される。

 奴の取り巻きの女共はそれぞれの国の貴族位のお嬢様だ。そして奴自身は国のトップ。俺に逃げ場は無い。



 とまぁ、そういう理由で俺は奴をクソ野郎と呼ぶ。


 例え総帝で、一般人からは勇者様とかモテるだとか才能が天元突破だとか関係無い。俺にとってフォルティス・サクリフィスは幼馴染みという枠組みをとっくの昔に通り越した害悪だ。


 なのに、な!の!に!!周りは俺のことを奴の親友だと思い、そう口にする。

 だから俺は両親含めて人間が大嫌いだ。



 これが俺の親友と思われ呼ばれてる男とその周りだ。




 これが今作に於ける勇者の実態です。

 そしてこれほどのエグさは出ない予定です。ご安心ください。



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