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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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VS土帝Ⅱ


 前から、後ろから、上から、下から、横から。

 あらゆる角度から土の槍が迫る。


 前から来る物以外の全てを1度水の膜で受け止め、1番近い物から処理をする。そして処理するまでの間、水の膜で受け止めるまでの間で目の前の壁を殴る。


 拳から伝わる感触と視界の端に移る削られた壁の断面から察するに、恐らく俺を囲むこの壁を殴る壁側に寄せて行っていつまでも壁を厚くし続けているのだろう。


 埒が明かない。それが出した結論だった。


 何より、殴り進んだことで後ろの空間は既に無く、今や俺と水の膜以外の場所は完全に閉ざされていた。

 閉じ込められたことも問題だが、更に問題なのは空気の問題だ。息苦しさを感じ始めた。


 完全に詰みが近い。

 こうやって殴り続けても壁を補強されたらキリが無い。

 ならこういう時は一点突破が定石だろう。


 水の膜をただの水の膜では無く粘性が物凄く高い物へと換え、殴りながら動ける空間の確保を行う。

 そしてある程度空間の確保を終えたタイミングで腕に魔力と水球を纏って補強する。


 思い描くのはスケルトンの一撃。それとラウムの尻尾による突き。


 スケルトンの一撃のような破壊力とラウムの尻尾による突きのような鋭さで貫くイメージで目の前の壁を破壊する。


 脱力し、構え、身体強化も行えるまで強化し、ただ目の前の壁を殴る。



 壁はそれだけで完全に壊れ、外の景色が映る。

 壊れた壁はすぐに修復していくためすかさずその空間へと飛び込み、土壁の中から出る。


 出た直後、目の前視界の8割を締めるほど近くに土帝の拳が有った。

 恐らくこのまま殴ってまた土壁の中へと戻そうとしているのだろう。


 しかし今の俺はスケルトンと殴り合ったあの時とほぼ変わらないほど強化された状態だ。

 だから例え当たる寸前だろうと、相手がどれだけ身体強化してようと、対処は楽だった。


 拳を体を沈めることで避け、土帝の懐へと入り、下から顎を掌底で打ち上げる。

 そして脚に力を入れて跳び上がり、空中へと飛んでいった土帝を追い掛け、軽く追い越し、1回転して踵を土帝の腹へと叩き込む。

 それにより更に飛んでいく土帝を水球を足場にして追い掛け、追い付くと同時に土帝の胸倉を掴んで地面へ目掛けて投げ込んだ。


 土帝は闘技場の地面へと落ちていき、地面と激突。

 それを見ながら着地した。



 着地したと同時、再び土壁が俺を覆おうと迫り上がって来る。

 それを水属性の魔力で押さえ付け、侵食し、土の固さを水で軟らかくさせて無力化する。


 土帝は這いつくばるようにだが、満身創痍といった様子だったが立ち上がろうとしていた。

 だから今出せる限界速度で近付き、頭を掴んで、地面へと叩き付ける。


 それでも抵抗しようとしたため、更に2度3度叩き付け、完全に静かになるまで繰り返し、最後に土帝が何も反応しなくなったところで、魔力を探って先代総帝を探し、そちらを見る。


 それだけで俺の意思が伝わったみたいで、先代総帝は近付いて来て跪き土帝の反応を見た。


 そして立ち上がると高々と宣言した。



 「勝者、サース・ハザード!」



 見ていた観客達から歓声が……上がらない。

 耳に入るのは衣擦れ音や呼吸音のみ。絶句されていることを深く感じ取った。


 まぁ、だからどうしたという感じなんだが。


 指輪からポーションを取り出し、それを土帝の口の中と体全体に掛けて水帝を呼ぶ。そして彼女が土帝の治療する所を観察する。

 確かに現時点で水帝より俺の方が強いのだろうが、水属性での治療という点ではどれだけ頑張っても今の水帝の回復力にはまだまだ勝てない。だから土帝の回復が終わるまで観察して魔力の流れを学んだ。



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