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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第五章:強化期間・後編
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帝達の事情


 魔物の討伐を終え、その証拠を回収して転移で首都へと戻る。


 そして直ぐ様救護院へと赴き、救護院を訪れた患者の治療を行う。


 一息吐けばまた魔物の討伐へ。



 そんな生活をもう1週間続け、水帝に着いて回るようになって約半月が過ぎた。


 そんな時に水帝通してクソ野郎を除いた帝全体からとあるお願いをされた。要請と言い換えても良いかもしれない。


 内容はまた新しいダンジョンか、この前エンラジー達と攻略したあのダンジョンまでの道の整備の手伝いだった。


 どういうことかと聞けば、要約するとダンジョンで手に入る資源が目的らしい。


 確かに実質ダンジョンの資源は無限で、その資源を際限無く使えると考えればダンジョン攻略に乗り出すのは納得が行く。

 しかしそれはあまりにも利益だけにしか意識が行ってない証拠でもあった。



 「おい水帝に炎帝、この前の俺の説明をこの2人にしなかったのか?ダンジョンを飼うようなことは危険そのものだぞ。


 しかもダンジョンを中心に街を作りたいだと?調子に乗ってると足許掬われるぞ」



 俺の言葉に気を悪くしたのか、それとも元々俺のことを良く思っていないのか、はたまたそういう気質なのか、真っ先に土帝が噛み付いて来た。



 「調子に乗ってるのは実際どっちなんだろうな?」


 「あたんからすれば俺の方が調子に乗ってるように見えるかもしれないが、ダンジョンの危険性に一切目を向けず利益にだけ目が行ってるあんた等の方がよっぽど調子に乗ってるとしか言えないが?」


 「そのダンジョンの危険性ってのも、そして小僧の実力も、いまいち俺は信じちゃいねぇ。この目で見てないし実感していないからな」


 「なるほど。だからまずダンジョンの危険性を体験していない炎帝、土帝、先代総帝はダンジョンの攻略を体験してみると」


 「そういうことだ。あとついでに、俺は小僧の実力も体感してみたいんだがな?」



 言い終わるかその前かぐらいから、土帝から魔力が漏れ出す。

 漏れ出た魔力量的に、総魔力量は470000ほどか。


 帝達の総魔力量は、クソ野郎と土帝を除いておおよそ把握していた。


 水帝は約420000ほど。炎帝は約460000ほど。先代総帝は約510000ほどだ。

 余談だが、前風帝は約390000ほどらしい。水帝が前風帝への愚痴で総魔力量のことも愚痴ってて、その時にこのどうでも良い情報を知った。


 土帝だけは今まで顔を合わせるタイミングすら無かったためわからなかったが、今回のことでだいたい把握した。クソ野郎は世間的に知らない奴の方が少ないだろうから論外だ。



 さて、土帝が何を言いたいのか。その言葉の裏の真意もこれで完全に透けた。要するに俺と一戦交えたいらしい。

 お前それでもプラムの学園長かよと思わなくもないが、俺は親指を立てて扉の方を指した。


 現土帝は、土属性のその特性上どうしても防御に寄りがちな歴代土帝達と比較してとても攻撃寄りな気質というのを村で帝のことについて学んだ時に神父様から教えてもらった。

 曰く、攻撃は最大の防御であり防御は最大の攻撃である、らしい。


 つまり現土帝との戦闘は、恐らくその硬い防御力と身を固めてから繰り出される土属性の物力による攻撃で敵を仕留める戦り方のようだ。


 魔王はどの分野でも圧倒的に力量差でまだまだ背中すら遠い。

 魔王の部下であるルシファーやサタン達はたまに勝る時も有るが、やはり実力差は遠いし、何よりあいつ等は力なら力で捩じ伏せて来る、相手の土俵に立って心を折りに来る鬼畜共だ。

 スケルトンも強いが、あいつは技量が超越していて強い部類だ。


 つまり、俺はこれまで現土帝のような奴との戦闘はあんまり経験したことが無い。

 ここで土帝と戦えるのは、確実に俺が帝達に近付いた1番のメリットと言えた。



 「表の闘技場か、旧首都の廃城の謁見の間で戦り合おうぜ。この2ヵ所なら他に迷惑掛けずに済む」


 「話が早くて助かるね。じゃあ上で戦ろうや。それなら終わった後もすぐにここに戻って来れる」


 「良いぜ」



 言いたいことを言い合って、俺達は会議室から出ていく。

 当然後ろから水帝と炎帝の止める声が聞こえたが、俺達はそれを無視した。


 たぶんだが、俺と土帝の気質的な波長は相当に似てる。

 興味を抱いた物が有れば、あくまで良識の範囲でだが知りたいことを知り終えるまで周りの声を無視する質だ。



 会議室から出て上へと移動し、土帝が帝権限で闘技場を貸し切る。

 その事に物珍しさからか色んな冒険者達が観客席へと座って行くのを眺めつつ、いつの間にか審判として立っていた先代総帝が仕切り始めた。



 「両者、準備は良いか?」


 「いつでも良いぞ」


 「こっちもいつでも良い」


 「じゃあ、試合開始」



 軽く告げられた開始の合図。

 その直後、俺は土帝の顔面目掛けて瞬時に強化出来る限界まで身体強化を行いぶん殴った。


 そして次の瞬間には俺は背中から闘技場の壁に激突していた。



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