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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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第2層:ボス戦・雑魚処理


 ボス部屋の中はラウムの居た洞窟の広場のような場所だった。

 ただラウムの居たあの場所は天井が空いていたがここは完全に閉ざされていて、なんなら全体的に暗い。


 と、中の様子を観察していた時だった。

 鏃に火の灯った矢が飛んできた。


 それを右手で篦の部分を軽く摘まんで受け止め、飛んできた方を見た。

 そこにはいくつもの大きな岩が存在していて、その上にはこちらに向かって矢を番えて2射目を放とうとしているゴブリンが居た。

 少し視線を横にずらせば、杖を持ったゴブリン、槍を持ったゴブリン、棍棒を持ったゴブリン、剣を持ったゴブリン、斧を持ったゴブリンが居る。更に全体を見れば、俺達の位置から真反対の壁際には明らかな金属鎧に身を包んだゴブリンが居て、その両端を大楯を構えた革鎧を着たゴブリンや、明らかにその辺の魔法使いよりも魔法を使えそうな様子のゴブリンなど、様々なゴブリンが居た。


 さながらここは、ゴブリンの軍の駐屯地のようだ。



 確認が終わると同時に矢が再び1射2射と飛んでくる。

 それ等の篦を1本ずつ右手で摘まんで受け止め、受け止めた矢1本1本に久し振りに使う改良したペネトレイトとアロッドエクステンションを施し、指輪から弓を取り出し左手で握り、その全てを一息の内に放つ。


 全てが全ての大岩目掛けて飛んでいく。

 そしてそれ等は、着弾と同時に大岩を貫き、アロッドエクステンションで延びた矢の軌道に沿って、全ての大岩が上下に切断された。



 「各自自由行動。味方に影響が有りそうな魔法を使う場合その都度声掛けを忘れるな」



 必要なことだけを2人に伝え、弓を指輪に仕舞って、身体強化を軽く行い駆け出す。


 最初に狙うは切れそうな剣を持ったゴブリン。

 その手に握る剣を奪って斬り捨て、周りのゴブリンの首を次々に落とす。


 ゴブリンは持つ武器によって、例えば弓矢を持つ個体ならゴブリンアーチャーへと、例えば魔法を使う個体ならゴブリンマジシャンへと、例えば槍を持つ個体ならゴブリンランサーへと、それぞれその専門とする武器の上位種へと進化する。

 今俺が剣を奪った個体はゴブリンフェンサーとなったことだろう。

 しかし今切り捨てた全てのゴブリンが、どうやら未だ上位種へと変化はしていなかったみたいで簡単に首を落とせた。


 周囲の排除を終えた俺は、次にゴブリンアーチャーとゴブリンマジシャンを処理するべく足を動かす。


 集団戦、それも混戦の中で最も脅威と言えるのは飛び道具による攻撃だ。

 流れ弾も恐いし、下手したら思わぬ所から射貫かれて命を落とすかもしれない。あの地獄でも何度も不意討ち狙いの遠距離攻撃に殺されそうになった。だからまず、遠距離攻撃が可能なゴブリンを始末する。


 移動の際に視界に捉えた情報は、どうやらエンラジーは左手側の処理に回ったらしく、水帝はその水の魔法で中央からの侵略を阻みつつ中央から俺やエンラジーの側へとゴブリンが流れていかないように調整しているようだった。


 魔法で調整するというのが俺には出来ない芸当だ。こんな時だが、やはり魔力保有量の多さというのには毎度嫉妬してしまう。


 エンラジーは俺のように白兵戦でゴブリン達を処理していた。

 ここに居る大半のゴブリンはどうやらまだただのゴブリンらしく、つまりEランクの魔物だ。Bランクのエンラジーが後れを取る筈もなく、こちらも順調に処理していた。



 それ等を右手側から中央側へと移動する際に見た俺は、水帝の近くへ水球を飛ばしてエンラジーの方へと水球を変形させて矢印を作る。

 作って水帝が認識したと判断したと同時にその水球の制御を手放し、拳を構えるゴブリンファイターの胴に拳を突き刺し、心臓部分に存在する魔石を破壊する。


 それを見てフェンサーとランサーがその刃先を俺に向けて突撃してくるが、1つ1つを水球で覆って勢いを殺し、近い物から順に処理していく。


 近くのフェンサーやランサーやファイターの処理を終えた頃には、俺の反対側からも剣を打ち付け合うような音や鈍い打撃音が聴こえた。

 恐らくエンラジーも中央へと攻め行ったんだろう。


 全身金属鎧のゴブリン、コイツは恐らくゴブリンジェネラルだ。ジェネラルは確認されているゴブリン種の中で1番上の種だ。ランクはAランク。俺からすれば物足りない相手だが、大半の人間からすれば脅威だ。


 そしてヤツを護る大楯を構えたゴブリン達はゴブリンナイトだろう。ゴブリンナイトの剣はあの大楯の裏に有ることが大概だ。大楯で守りつつその裏に隠した得物で敵を斬る。アレはそういう戦い方をする。ランクはBだ。


 そんなナイトに武器を抜かせず、そしてどう処理するかは人によって様々だろう。

 しかし俺の処理の仕方は、とても力押しで、決して他の奴には勧められないし教えられない方法だ。


 拳に纏う身体強化の魔力を更に増やし、まるで魔力で出来たぶ厚いグローブを嵌めているかのように魔力を纏う。そして全体的な身体強化の質と魔力を増やして更に強化して、ナイト達の構える大楯の真ん中へと拳を叩き込む。


 それだけで大楯の真ん中に穴が開き、その後ろに存在する奴等の得物すらも破壊し、守る物を壊した拳を引いて続く反対の拳で胸を鎧ごと貫く。

 二撃必殺とでも言おうか、強化した身体能力と拳に任せて腕を奮い、真正面からどんな守りも壊しその命を奪う。この戦い方が、Aランク以下の魔物への俺の必勝手段だ。



 そうやってジェネラルを守るゴブリン達を次々に殺して行く。

 そうしてジェネラルの周りに居たゴブリンが最初の半分以下になった頃、両手斧規模の大きな両刃の斧が俺へと振り下ろされた。



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