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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第一章:彼との馴れ初め
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「ぬかせ」


 模擬戦は2回行われる。

 1回目は純粋な体術や木製の近接武器のみ。2回目は魔法を交えた本格的なものの2回だ。

 何故2回行われるか、これの理由は2つ有る。1つは1つ前に行った的当てはどちらかというと魔法をメインに使う後衛職の奴等が活躍しやすい。対して前衛職は活躍するのが難しいとされている。そのため前衛職が活躍する場として素の戦闘能力を計る目的で行われるのが1回目の模擬戦だ。要するに生徒の得意不得意を把握するために行われる訳だな。


 2回目の模擬戦は要するに総体的に生徒の得意不得意を計って今後の指標にしようってことだ。

 例えば的当ても1回目の模擬戦でもあまり動けなかったという生徒が居たとする。しかし2回目の模擬戦では自分の得物である弓が解禁されたため得意の弓で遠方から相手を射貫いて仕留めたり弱らせたりすることで相手に勝つという奴も居る。そういった総合力を見るために行われるのがこの2回目の模擬戦だ。



 さて、この2つの模擬戦を行う上での問題が2つ有る。

 1つはレオポルドとの模擬戦をどちらで行うかという問題で、もう1つは2回目の模擬戦で何処までやるかという問題だ。


 まぁ、1つ目については恐らくレオポルドの意向で2回ともレオポルドとやることになるだろう。

 問題は2つ目で、今の俺の模擬戦の相手は魔王だ。つまりクソ野郎と戦り合う想定での模擬戦だ。俺の戦い方や強さの基準は今、そのレベルのものになっている。

 対してレオポルドはそこまでの領域には到っていない。これは断言出来る。だからこそ、何処まで本気になって良いのかがわからない。魔王の口振りから例え俺が本気を出してもレオポルドが死ぬようなことはないだろうことはわかった。だけどだからと言って本気で戦うことが出来るかどうかは別だ。


 とかなんとか考えている間に、レオポルドは模擬戦で審判をする教師と話をつけたらしく、俺と彼との模擬戦が最初に行われることになった。

 そして恐らく、というかやっぱり2回とも彼と戦うようだ。



 「楽しもうぞサースよ」


 「潰れないでくれよレオポルド皇子」


 「ぬかせ」



 言葉はそれで終わり、互いに互いの拳が届く位置まで移動してから構えた。

 1歩…いや半歩前に出ればハグ出来そうなほどの近距離。そんな距離で俺達は向かい合った。


 向かい合って改めて意識したが、レオポルドは大きい。それは太っているという意味ではなく、身長も大きければ筋肉も大きく、つまり横にも大きかった。一回りぐらい俺より大きいんじゃねぇかな。


 見た印象からその筋肉を殴ればむしろこちらの拳が痛みそうなぐらい隆々とした肉体とその目がしっかり俺に向けられていた。目にいたっては獲物を狩る肉食の魔物のように獰猛になっている。



 「両者見合って!」



 審判をする教師の声が耳に入る。

 遂に彼との戦いが始まるらしい。



 「試合開始!」



 開始の合図と同時、ドゴッという鈍い音と共に、拳には何かを殴った感触と左頬を何かで打たれた衝撃を感じ、視界は少しチカチカと明滅したように感じた。



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