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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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『宝物庫』:作成・下準備『セスフンボス』と『トラトト』


 最初に魔鉄、ラウムの鱗、ルビーを道具を使って完成品の基盤を造る。


 まずはラウムの鱗を鑢を使って削る。ラウムの鱗は鑢の材質の鉄より硬いため逆に鑢の方がやられたが、途中から魔力を流して削ると良い感じに削れて粉になった。


 それを魔鉄に振り掛け、魔力を流しながら魔王に出してもらった火で炙り熱する。

 魔鉄は温度だけでなく魔力だけでもある程度変えたい形に変形出来る。その性質を利用してラウムの鱗の粉を魔鉄へと練り込んで行く。


 練り込みにある程度の余裕が出来れば、次は指輪の形へと変形させる。

 これはある程度形を整えたらルビーを埋め込み、外れないようにルビーを囲うようにリングの表面を削って上から更に固定した。



 ルビーを埋め込みリングの表面を削って固定すれば、次は適当な頑丈な箱を取り出す。


 この箱の大きさは何でも良い。強いて言えばラウムの爪や牙さえ入るような、しかし両手で持てるぐらいの大きさだ。


 そんな箱を手持ちの素材で作り、適当な魔石を砕いてこれも粉にして、魔石の粉とラウムの鱗の粉をその箱の内側へと塗り込むように擦る。

 そしてそこでその箱の中へと砕いていない魔石を入れて、魔道具化するように念じる。


 今回望むのは箱の中の物が中に入れた物1つを基点に融合して、素材となった物達の性質や能力を受け継いだ物になるというイメージで念じる。


 当然その時にはもはや無限と言えるほどに回復速度が増した魔力をありったけ注ぎ込む。


 そうして光が発生し、それが収まった時には、詳しい能力や内容はわからないが、直感的に望む物が出来上がったと思える箱が出来上がった。

 中を覗き見れば、思っていた以上に大きな物や量が入りそうで、これから創ろうとしている物以外にも、それこそ武器なども創れそうだった。



 「それは……なんだい?かなり凄い物が出来上がったみたいだけど……」



 魔王が若干引いたような声で聞いてくる。



 「どういう物になって欲しいかは言えるが、詳しい能力や効果まではわからない。


 魔王がそれだけ引いてるってことはそんなに凄いのかこれは?」


 「凄いなんて物じゃない。これ1つ有れば世界に1つしか存在を許されないような物をいくつも産み出せてしまう。


 サース。君には悪いけど、今回のことが終わったらこれは没収しても良いかな?これが諸人の手に渡れば世界はこれを廻った争いしか生まれないだろうから」


 「……俺が創ったんだ、今後俺がどうしても使いたくなった時は使わせてくれよ」


 「事前に何を創るか説明してくれて、尚且つ俺の監視の許でなら良いよ」


 「それで良い。それで、結局これの効果はなんなんだ?」



 俺が創った物をどう使おうが俺の勝手だろという想いは有ったが、魔王の目が真剣な物で、それこそ『魔界の王』以外の目線で物を見ている時の魔王のように見えたため頷くしかなかった。


 その後の製作者である俺の使用についても『監視』なんて言葉を使うぐらいにはこの箱は危険な物らしい。


 だからこそ効果が気になり、詳しい能力や効果について尋ねれば、それこそ耳を疑うようなことを口にされた。



 「これは一言で言えばパンドラの箱と呼ばれるものだ。


 サースには馴染みの無い言葉だろうから簡単に言おう。

 パンドラの箱というのは、その世界の良いと悪いをごちゃ混ぜにした物が納められてる箱の事だ。

 一度開ければ、ある時は世界に幸福をもたらし、ある時は世界に破滅の災いを振り撒く。そんな危険物がパンドラの箱だ。


 サースは今、そのパンドラの箱と実質同じ物を創り出した。


 これは中に入れた物を強制的に混ぜ合わせ、祝福にも厄災にも成り得る危険物を簡単に産み出せてしまう箱だ。

 もしも誰かが自暴自棄になって、死の間際に危険な物を際限無く入れて生きた生物でも一緒に入れてみろ、次に開けた時には世界を滅ぼす未知の生物が生まれてしまう。

 そしてその生物が生きた人間であってみろ、入れた物次第では決して殺せない極悪で最低最悪な怪物が生まれてしまう。

 これの恐ろしい所は、その質量や入れた物の能力や材質なんかに関係無く、自己崩壊すら起こさない完成された物を産み出せてしまう所に有る。そしてそれに際限はない。


 もう1度聞くよサース。

 サース、なんのためにこれを産み出したんだい?いずれにせよこれは絶対に没収だ。例え俺が滅びても誰の手にも届かない所に厳重に保管する」



 魔王の説明を聞き、望んでいた物が出来上がったと喜んで良いものか悩むほど信じられない説明だった。

 しかしこれだけ魔王が真剣に言っているんだ、事実なんだろう。


 試しに今回ダンジョンで手に入れた三叉槍全てと水属性の魔力を帯びた魔石、俺の水属性の魔法を魔王に許可を取ってから入れてみる。


 そして蓋を閉じ、開いてみれば、柄尻と持ち手の先、そして三ツ又の中心にそれぞれ水を連想させるような綺麗な宝石のような魔石が埋め込まれた三叉槍が出てきた。


 魔王にこれを鑑定してもらえば、この宝石部分に魔力を貯め込めて、その貯めた魔力が尽きない限り水分であれば自由に操作出来る能力が備わっているらしい。

 そしてその宝石の魔力はいつでも魔力を補充可能らしい。


 残念ながら、これも没収物になった。

 元々使うつもりは無かったが、魔王的にはこの武器は絶対にクソ野郎との戦いでは使ってほしくないらしい。というか、人目につく場所には出したくないらしい。



 三叉槍を『トラトト』、この合成融合箱とも言える箱を『セスフンボス』と名付けた。


 さて、いよいよ本番だ。



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