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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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「…………違う法則に則った異世界、か」


 最後の方はスケルトンへ向けられた言葉のようだった。

 そして、どうやらこのスケルトンの生前の名前はリチャード・ヘングリクセンと言うらしい。



 魔王から語られた内容に、またいくつも疑問とどういうことかと問い質したいことが出来たが、恐らく魔王の気分が乗った時でないと語られることは無いだろう。


 魔王が語り終えた数秒後、スケルトンはゆっくりと起き上がり、立ち上がり、こちらを見た。



 「感謝する、この世界の神よ。磨り減り忘却した俺の名前や過去まで復元してくれたこと、限定的とはいえ行動の自由を与えてくれたこと。そしてアナタとの出会いに最大の感謝を」


 「俺は神なんてクソッタレとは違うから今後は神と呼ばないように。俺はこの魔界の王である魔王だ。そこは間違えないように。


 それ以外については受け入れてあげよう」


 「……魔王殿、重ねて感謝を」



 普通に喋れるようになったにしても、その喋り方は明らかに俺とのやり取りでは考えられないほど堅いものだった。

 そしてまた魔王は普段俺には見せない在り方で話している。


 魔王が魔王としての在り方で話す時は大抵がもっと高圧的だ。しかしスケルトンへの態度は比較的友好的と言える。俺と話す時に近い感じだろうか。

 そしてこれまでの魔王の話やスケルトンの言葉から考えるに、本当にこのスケルトンは異世界の住人だったらしい。そして口振りから、この世界とは違った法則の世界らしい。


 人界以外の世界が在るこの世界だ、今更異世界が在るなんてこと事態は特に思うことはない。

 しかし、この世界の法則以外の法則で動く異世界が在るとは考えたこともなかった。


 …………違う法則に則った異世界、か。



 「魔王、俺は一旦寝る。その間に鑑定を頼む。

 起きたら人界へ、竜人の村へ連れて行ってくれ。創りたい物が出来た」



 返事を聞く前にこの玉座の間から立ち去り、用意された自室へと戻る。

 玉座の間から出る際、後ろから嬉しそうな声で「もちろんだ!」という声が聞こえたため、気兼ねなく寝れることだろう。


 要素はだいたい揃ってる。念のためスケルトンから少し骨を貰えばより確実だろう。

 当然未知の物で一発勝負だ。だが、要素、条件は揃ってる。


 なら、創れないのは俺が原因と考えて良いだろう。

 だから、創る前にしっかり休んで英気を養わねば。



 自室へ戻った俺は、シャワーで体の汚れを流し、軽装に着替えて即座に眠った。


 起きた時、出来上がるであろう物を手にするのが楽しみだ。



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