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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第一章:彼との馴れ初め
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「22秒か。まぁこんなもんだろ」


 学園中等部2日目。この日は朝から複雑な気分だった。というのも、今日の授業は全て自己能力の把握。つまり魔力を測ったり身体能力テストをしたり各種武器での模擬戦を行うというものだったからだ。


 改めて言うが、今の俺の魔力はサポーターに回してたり抑制されたりで基本的に数値で言えば1だ。そして模擬戦なんてした日にはすぐにバテバテになる。それを大勢の前でやらないとダメとか、十中八九また色々言われるのが目に見えていた。


 だが同時に、恐らく抑えるだろうが今のクソ野郎の強さを知るのに良い機会でもあった。

 周りから色々言われそうなことへの煩わしさとクソ野郎の強さを知る機会に巡り会えたことの喜びで感情は複雑だ。


 そんな俺の感情なんてのは関係無く時間は進む。時間が進めば当然授業も進む。



 最初に行うのは魔力の測定だった。

 魔王には指輪とサポーターは外さないようにと言われている。理由は、都度外したりすれば意味が無いかららしい。

 魔力はワインと似ていると言われた。熟成させればさせるほど、そして寝かせれば寝かすほど良いものになる。その都度外していればその効果は薄くなると言われれば外す訳にはいかなかった。


 そんな理由で、当然だが魔力測定の結果は当然1。学園側の資料には俺の試験時点での魔力量が記載されてるだろうから、今の俺は魔力量が以前より減ったかそもそも虚偽報告していたかの2択となる。

 流石にこれが一般受験であれば俺は即審議に掛けられて即停学か退学を迫られていただろうが、俺のこの編入は所謂裏口というヤツだ。そしてそこには最高権力者達が関わっている。だから停学退学云々の問題は無かった。

 ただ俺の測定をした教師に嫌がらせかなんなのか、大声で「サース・ハザード、総魔力量1」と言われたのは不味かった。おかげで周りの俺を見る目はゴミを見る物に変わった。


 個人情報保護は何処に言ったと言いたいが、それを言える権力も実力も今の俺には無いことはわかっていたため、なけなしの魔力を使って教師の股間を濡らしておいた。それもなかなか乾かない乾いてもシミになるような魔力でだ。たぶんアレは乾けば黄色いシミになる。しかもクソッタレな教師の履いてるズボンは色の目立つ白色だ。ざまぁみやがれ。

 水属性の魔力弾を撃ったことで魔力が無くなりフラフラしたが、クソッタレ教師の「う゛っ…」という嗚咽で少し溜飲が下がった。もう1度言おう、ざまぁみやがれ。



 そうして次は身体能力テストへと移った。

 身体能力テストと言ってもやることは、約500メートルの距離を何秒で走り切れるかとか、何メートル跳ぶことが出来るかとか、模擬戦でどれだけ動けるかとか、そういった魔力を用いないでどれほど動けるかってテストだ。

 これを最初の自己紹介順に行った。


 俺が走るまでに目覚ましいというか目立った記録を出したのは、マハラ帝国皇子のレオポルドが約21秒、猫の獣人族と思われる女の約22秒、クソ野郎の25秒ぐらいだった。

 と言っても俺達の年代での平均秒数はだいたい約28秒だ。身体能力に優れた獣人族相手に人族のクソ野郎が25秒も出せたのは普通に考えれば快挙と言える数値だった。


 そんなのを眺めてる間に俺の番になった。

 身体能力テスト担当の教師に呼ばれてスタート地点に着く。その際魔王の言葉を思い出す。魔王曰く走るだけでも走るための型が有るらしい。しっかりした型通りに走れば、走力が上がるのは必然だそうで、実際俺の足の速さは魔王と会う前より確実に上がった。


 だからここではこう言おう。



 「位置について、……スタート!」



 スタートの合図と共に俺は足に溜めに溜めていた力を解き放ち、地面を思いっきり蹴った。


 足を前へ運び、運んだ足が地に着くと同時に次その足が離れるまでの限られた時間の中でまた力を溜める。

 それを何度も繰り返し、気を抜いた時にはゴールを走り抜けていた。



 「き、記録!22秒!!」


 「22秒か。まぁこんなもんだろ」



 なんかクラスメイトの奴等が騒がしくなったが、まぁ下等部で慣れたよその反応。



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