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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
138/689

フィニッシュ


 肉体の限界。反比例するように上がり続けるテンション。

 人によれば絶好調と言う奴が居ることだろう。


 かく言う俺も、テンションに引っ張られてるからか絶好調と言って差し支えないと思っている。



 限界はどれだけ多く時間を見積もっても5分。

 だから、普段は絶対にやらない腕輪の魔力までもを身体強化に回して決着を急ぐ。



 殴る蹴るの応酬は、次第に俺有利に傾いていく。

 技術はまだまだスケルトンの方が上だが、俺の身体強化がスケルトンの行える身体強化の限界を上回りつつ有るんだろう。


 殴る度、蹴る度にスケルトンの骨にヒビが入る。その度に胴体に有る黒い魔石は苦悶を漏らすかのように朱く変わり明滅し、殴る度にその黒は薄くなって来ている。

 眼窩から覗く頭蓋骨の中の赤い魔石も悲鳴を漏らすかのように明滅し、こちらもその色を徐々に薄くなっていた。



 「おいおい、魔石が、薄く、なって、来てんぜぇ!」


 「よゆっ、ッソ……!」


 「どうした、んだァ!そろ……そろ、その骨、折れちまう、ぞォ!!」


 「んな、なん、ッソォ!!」


 「んだよ普通に、話せるじゃねぇか!なんで最初から、話さなかった、んだ?!」


 「なん、よゆっ、ふざっ」


 「単純に俺の身体強化がテメーを追い越し始めたからだろ!

 今では途切れさせず、普通に話す余裕すら生まれてきたぞ!!」


 「──!────!!」


 「何言いてぇかわかんねぇなァ!!さっさと死人は死人らしく、くたばっとけッ!!」



 殴る蹴るのラッシュは遂にスケルトンの腕の骨を完全に割り、最終的に二の腕から先が失くなった。


 脚は膝を横から叩くことで折り、こちらもマトモに立てない状態にした。


 そして最後に、胸骨を折って肋骨を破壊し、その奥に在る黒い綺麗な球体の魔石を掴み、遂にその魔石をその体から抜き取った。



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