技術の頂点
横から殴る。上から振り下ろす。下から振り上げる。袈裟に振り下ろすタイミングで敢えて逆手に持ち替え意識をそちらに向けさせて反対の鎚で殴る。
「わっ、ちょっ、おまーえどーう、うぉーう?!」
当然身体強化は常に1秒1秒その時その時の限界で強化し続ける。
表情は破顔していることだろう。それほどまでに自分の技や技術が技術的に敵わないという経験が新鮮で、何より己が強くなって行ってることを実感出来て、湧き上がる愉悦に身を任せる。
魔王やルシファーやサタンなどの魔界の住人達や、クソ野郎や帝達は確かに強い。しかし彼等のそれは、生まれ持った強さを磨いただけの強さで、技術的な強さは正直無かった。
有り余る魔力で強化をしまくり、または有り余る魔力の暴力で大技を使っての力押しがほとんどだ。
同年代達の中には、特にイリコスやエンラジーの技術は学ぶ部分も有る。だが正直、物足りないと思う程度の技術だった。
そんな中で目の前のスケルトンは、そいつ等全員の技術を1人の人間に集めたとして、そうしたとしても精々俺と同じ程度の技術力だろうし、つまり俺の倍は戦う上での体の使い方が上のこのスケルトンには及ばない。少なくとも俺がこれまで出会った奴等の中で、その技術は頂点と言って良いだろう。
それに加えて身体能力も物凄く高い。俺が気付かぬ内に吹っ飛ばされたのが何よりの例だ。
その技術を盗む。その一心で鎚を奮い続けた。




