愉悦に頬が緩む
状況を把握するのに数秒を要した。何をされたのかわからなかったからだ。
正直、ナメてはいた。いきなりあんな意味不明で頭のおかしい奴が妄想話を始めたんだ。しかも比較的に友好的に見えるような態度で。
それが近接に持ち込んだ途端俺は壁に埋められてる。
ナメてはいたが、油断はしていないつもりだったし、一撃で沈めるためにかなりの倍率で身体強化を行い、力の限り大鎚を奮った。
にも関わらず反撃されたこともわからず、今こうして壁に埋められてる。
腹の感触から、そして間合いから考えて、腹を殴られたであろうことは察した。しかしそれだけだった。
それ以外が何も情報として頭に入ってこない。
ただ、そんな中で1つだけ結論が出た。
少なくとも、何かしらの理由で奴は俺の攻撃を防げるし、俺が視認出来ないほどの速度で殴れる。そんなキャラだというこの事実だけは覆らないからだ。
ならば話は簡単だ。この過程を前提に動けば良いだけだから。
「うーわー、凶あーくーなカーオをーしーてーるなー」
「退屈しなさそうだ」
大鎚を指輪へと仕舞い、ハンマー2つを取り出し構え、一向に仕掛けて来ようとしないスケルトンへと駆けて近寄った。




