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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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興味本意


 跳び上がり、水球を蹴ってまた跳び上がる。

 それを何度も繰り返し、実際の空もこれほどまで昇るんだろうかと思うほど上へと昇り続けると、その太陽のような光がなんなのかがわかった。


 一言で言えば光る塊だった。そしてこれだけ近付いたからわかったが、どうやらこの光は太陽光のような暖色系ではなく、青い寒色系の色をしていた。

 そして恐らくこの空間の空に相当する天井付近に近付いたからこそ追加でわかったが、周りの夜空のように見えていた光は全てこの光る塊の小さい物の集まりだったらしい。天井に張り付き、数えるのも馬鹿らしいほどの数が光っていた。

 それこそ数十分前の魔物達と同じかそれ以上の数だった。


 もしこの空間からの脱出方法が全ての魔物の処理なのであれば、まだまだこれだけ魔物が居るんだ、何も変化が起きないのは当然のことだった。



 しかし空中なため出来ることなど少ない。

 だから1番デカい太陽のようなヤツを中心に攻撃することにした。



 「ッッッラァッ!!」



 体を反転させ、天井に着地するように姿勢を整え、まるで遥か上空から蹴りをするかのように1番デカい塊に着地を決める。


 鳴き声らしいものは聞こえなかった。

 しかし、明らかに悲鳴を上げているのだろう。空間全体が大きく震え、それに合わせて周りの光が一斉に集まって来る。まるで女王蟻を守らんと女王蟻の許に集う蟻のように。


 それを、着地で開いた塊の傷口へ、体内に入ることで凌ぎ、逆にその体内を荒らす。


 この塊にもし体液や内臓が有り、それが即死級に人体を蝕むものだった時のために水の膜を張っていたため特段変わったことはなかった。

 中はブヨブヨとしていて、まさに内臓の肉と肉の間に居るようだった。


 水の膜の表面をヤマアラシのトゲのような形に変形させその状態を固定する。

 そしてそのまま塊の中を転がり回る。空気の球体の中に入り、その中で動いて転がり移動するようなものだった。もしもこれが戦いから離れた日常の中でやったのなら子供は喜びそうだと不謹慎にも一瞬考えたが、それも一瞬。

 転がり移動する度に塊の慟哭のような空間の震えは、塊の表面、塊の肉、水の膜と三重にも層が有るのにも関わらずその悲鳴はより一層大きくなっていく。

 それを聞いて、改めてこの光る塊は魔物で生きているのだと再確認した。


 その最たる理由は、転がり移動する中で辿り着いた、目の前に在る俺の身の丈以上の大きさを持つ魔石が原因だった。


 ダンジョン外で魔石を抜かれた魔物がどうなるのかは知らない。ダンジョン外で知らないのだから、ダンジョン内の魔物がどうなるのかなんてのも当然知らない。



 こんな時だが、興味本意だった。


 水の膜から出しているトゲの一部を腕のように動かして魔石とくっついている塊の肉片を綺麗に取っていく。

 そうして水洗浄を行い水の膜を拡大させて中へと取り込み、その魔石を指輪の中へと収納してみた。


 その直後、空間の震えは、まるで最初から何も無かったように止まり、10秒ほど経った頃、突如空中へと投げ出された。


 慌てて膜を消して水球を作り、その水球を足場に跳んで天井に改めて着地する。

 そうして周囲を確認してみれば、数十分前の地獄とはまた違った地獄が頭上に広がっていた。


 一言で言えば、巨岩の雨だろうか。

 あの無数に居た夜空の星のように見えていた光る小さな塊達が、その光を失い次々と上へと落ちて行っていた。

 今俺の位置が天井のため実際の地面は下なわけだが、もしも数分前に居た地面に今も居たとすれば、まず間違いなくこの巨岩の雨に押し潰されていたことだろう。


 天井の光が、俺の居る場所を中心に、水面の波が拡がるように波状に消えていく。


 そして全ての光が消え地面へと落ちた時、足場に転移の魔法陣が展開され、強制的に何処かへと転移させられた。




 今回出てきた光る塊とは、私たちの世界のウミホタルになります。

 ウミホタルの詳しい肉体構造は知りません。





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