休憩
この空間に降り立った場所に大の字に寝転び上を見上げる。
相変わらず夜空のような空間が拡がっており、俺の降り立った場所の真上には太陽のような光が燦々と輝き非常に眩しい。それを浴びながら干し肉を食み、水筒の水を飲む。
「どうすればここから出れる?」
呟きながら脱出手段を考える。
夜の空に太陽が在ることとダンジョンの中ということ以外はありふれた普通のこの空間は、数十分前の地獄が嘘のように静謐で、その静けさが脱出手段がわからない現状に焦りを募らせる。
しかし焦ったところで、脳を完全には休ませていないためこれ以上の考えが思い浮かばない。
「いっそあの太陽に焼かれに行ってやろうか」
呟き、しかし完全な自暴自棄による自殺だと自覚して、そんな言葉が出てくる自分に呆れる。
本当に精神がやられてる。
まだクソ野郎を倒してないのに自分から死のうだなんて、頭がおかしくなってる証拠だ。
一瞬寝ようかとも考える。
しかしここが完全に安全な場所とは言えないため寝るに寝れない。
そのまま悩み続けて、体感1時間が経った頃、違和感を覚えた。
寒いのだ。
寒い。寒いのだ。それは空間そのものの気温が下がっているわけではない。しかし地面の冷たさは感じる。温度の違いはそれだけだった。それだけだったからこそ、1時間も掛かったが違和感に気付けた。
真上に輝くあの太陽が本当に太陽であるのなら、少なからず寒いと感じることはまず無いのだ。何せ太陽なら太陽光というのは暖かいものなのだから体の表面はそれ相応に熱を感じても不思議はない。
当然ここがダンジョンなわけだから、あの光が本物の太陽ではないと言われればそれまでだが、太陽光の熱事態はあの何処までも続く海の中を進んでいる時にも感じていた。
あの場所とは仕様が違うからと言われてもそれまでだが、この手の気付きを得たらそれ以外の可能性を考えられず、そしてそれに今まで従って来たからその時々の危機を何度も乗り越えて来た。
立ち上がり、脱力し、体の節々を伸ばす。
「やるか」
目指すはあの一点に輝く太陽のような光。
一か八かの賭けだが、他に良い可能性が思い浮かばないのであれば試す以外に選択肢は無いだろう。
身体強化を行い、更に脚に重ねて強化を行い、脚に力を入れ、そして跳び上がった。
中途半端ですが、今話はここまでです。




