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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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12時間の攻防


 体感5時間。まだ終わりは見えない。

 しかし、戦いながら指輪から干し肉を出して食ったり、宙に出した水球で水分補給したりと、戦いながら栄養補給する余裕が有る程度には勢いはマシになっていた。


 このダンジョンに入って体感13時間。外の時間で言えば、冒険者達はそろそろ切り上げギルドにその日の成果を報告し始める頃だ。そしてその後は併設された酒場か、近くの酒場で祝杯をあげる。


 何を言いたいのかと言えば、一息吐く間が欲しくなってきたという話だ。

 もはや作業と化したこの場所での魔物の処理は、油断は出来ないが暇な物へと変わっていた。

 肉体も身体強化のおかげでそれほど疲れてはいないが、度重なる戦闘でそろそろ休憩が欲しいと自己主張しているように思う。


 『まだまだ戦える』と『休憩しなくても平気』は決してイコールで繋がらない。まだまだ戦えるし、休憩せずとも2日3日程度であれば動ける。しかしそれは動けるだけであり、休憩せずとも平気というわけではない。

 絶対に休憩した方が良いし、だからこそこの場から転移などで逃げ出した方が良いだろう。


 そう思うほどに限界を迎えていた。にも関わらず転移をしないのは、単にまだ戦えるからだった。


 まだ戦える。まだ動ける。そんな余裕が有るのだ、ならば動けなくなるまで体を酷使せねば、到底魔王はおろかクソ野郎打倒など夢のまた夢だ。


 前総帝を含めた帝達全員で戦いを挑んでもクソ野郎は一蹴してしまえるほど強いらしい。それがクソ野郎が総帝になった頃の話だ。なら今はもっとその実力差は開いていると思っても過剰な妄想とは言えないだろう。


 対して今の俺の実力、その自己評価は、片手の指以下であれば帝を複数人相手取っても勝てるという認識だ。

 これにはちゃんと根拠が有る。当然本人がそう言っていた程度で実際がどうかはわからないが、魔王曰く他の帝達の実力が横並びであるのなら炎帝の実力から考えて今の俺の実力は帝複数人相手取れるぐらいの強さだと言われたからだ。

 そして今の学園に編入するために水帝と戦った時、それとこの前ストゥム達と戦った時に出会った水帝と炎帝と相対した時の感覚的に、今の俺1人で2人を相手取れると判断したからだ。


 つまり、今の俺の実力位置は、帝達以上クソ野郎以下という位置なわけだ。

 たった1年でここまで実力が付いたのは魔王のおかげだが、逆に言えば9年掛けてまだクソ野郎の足許にも届いてないと言える。


 その事実はハッキリ言って屈辱的だ。

 9年掛けてもまだクソ野郎の足許にすら届いていないというのは、自分の実力の無さが本当に情けなくなるほどに屈辱的だ。


 だが言い換えれば、まだまだ自分を追い込めることの証明でもある。

 だからこそ栄養補給が出来るような余裕の有るこの作業は今の俺にはなんの障害にもなりはしない。




 そう、改めて自分の実力位置を再認識して決意を固め直してから更に4時間。

 遂に魔物の出現速度を処理速度が上回り始め、その2時間後には魔物が追加で出現することは無くなり、その1時間後には全ての魔物の処理を終えることに成功した。


 それから更に1時間。心身共に休憩しつつその場に留まり続けたが、終ぞ追加の魔物が現れることはなかった。

 そこでようやく、俺はこの場所の攻略を終えたかダンジョン側に余裕がほぼ無いのだと悟った。



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