「ダンジョンを?」
「…………魔王?」
「まぁ、うん。聞きたいよね。でもごめんね、今のサースには話せない」
「……そうか」
あの短剣がなんなのか、新たに現れたベルゼブブがなんなのか、そして気付けば元の大刀・餓鬼の姿に戻っている剣についてはなんなのか、色々聞きたいことが一気に出来たが、話せないと言われれば仕方がない。
餓鬼も中身がどうかはわからないが元の姿に戻ったんだ、ならもうこの件は気にしないのが良いのだろう。
であれば、もっと生産的な話をしよう。
「それで、恐らくアンタの計画だと俺とラウムを戦わせるのが目的だったと思うけど、それも終わった。
じゃあ次は何をすれば良いんだ?」
「そう……だね。元々駄竜とずっと戦ってもらおうと思っていたんだけど、今のサースには厳しいだろうしね……。
うーん、何をしてもらおうか……」
どうやら魔王にとって今の状況は予想外の事態らしい。珍しく本当に悩んでいる様子だった。
ならばと、この4日間で俺が考えていた事を伝えることにする。
「ならダンジョンを回らせてくれ」
「ダンジョンを?」
「今回竜人族の技術を知って、彼等の産み出す魔道具にかなりの興味を持ったんだ。そして彼等の産み出す魔道具と魔王やダンジョンが産み出す魔道具に違いが有るのかどうかも。
もしもダンジョン産の魔道具や魔王の創る魔道具を再現出来たら色々と便利だろ?
だからダンジョンに潜りたい。ダンジョンであれば鍛えながら魔道具を集められるしな。
魔王が次に俺に何をさせたいのか考え付くまでで良いんだ。それまでの間、色んな俺の知らないダンジョンへと連れて行ってほしい」
伝えたあと、すぐに魔王は腕を組んで考える素振りをした。
結論が出たのだろう。すぐに「良いねそれ」と言ってきた。そしてすぐに俺達は魔界から人界へと転移し、また知らない場所へと移動した。




