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ボツBL小説集  作者: 高遠
6/7

色縺恋鎖(しょくもつれんさ)‐消えることのないチギリ‐ 捕蝕者と被蝕者

【※2025/7/22 pixivでも連載中

※2025/7/25  一部エピソードタイトル・文章を大幅変更 「抗えない欲求」→「捕食者と被食者」

※2025/7/26 タイトル・エピソードタイトル一部変更】


狡猾であざとい執着男子高校生攻め(人間・退治屋)×優柔不断な落ちこぼれ吸血鬼受け(吸血鬼)


▽食べられるのはどっち?


※攻めより受けの方が身長が高い。一見すると攻めの方が受けに見える(はず)。

男子高校生は吸血鬼の魅了が効かない「絶対耐性」という特殊体質の持ち主。その上、男子高校生の血は、吸血鬼にとって非常に美味で極上の味であるが、一種のマタタビのような、酩酊状態になる作用を引き起こす。

ちなみに、血は男子高校生の意思によって状態を変えられる。その気になれば全身の血を猛毒にして血を口にした者を死に至らしめる事が出来る。






 これは何だろうか。


 もう何日も「食事」をしていない。

ぼんやりとした意識の中、力無く横たわる目の前で檻の外に続く扉がキイイ、と音を立てて開く。



「ねー俺喉渇いた」

「……」

「ちょっと聞いてる?」

「……」



この場にそぐわない呑気な声が聞こえてきたかと思えば、後ろ手に縄で縛られた見知らぬ男子が入ってくる。後ろからいつもの見慣れた冷徹な看守が顔を出し、無言で彼の背中をドン、と押した。

檻の扉が音を立てて再び閉まる。



「……後でここから出たらあいつぜってー処分してやる」

「……」



看守が出て行った外の扉を睨みながらそう彼は不穏な恨み言を言った。

彼がゆっくりとこちらを振り返る。刃物でも隠し持っていたのか、彼を縛っていたはずの縄は切れて落ちていく。そして一歩一歩ゆっくりとこちらに近づき見下ろした。



「……」



彼は興味深そうにこちらを一つ一つ(つぶさ)に観察する。


彼の意図が分からない。


すると彼は突然笑みを浮かべ、しゃがんで膝を着いた。

そしてゆっくりと(おもむろ)に着ていたパーカーを脱ぎかけTシャツの襟元を引っ張り、鎖骨を晒して頸を傾げてみせた。



「……」



彼の匂いが間近で鼻を掠めた瞬間、全身が本能的に僅かにざわめき始める。



「ほーら、俺『エサ』だよー。どう?とっても美味しそうでしょ?」



目の前でおどけて笑ってみせた彼の言葉は正にその通りだったが、満身創痍で横たわった身体は指一本すら動かすのが億劫に感じる。


折角の獲物を目の前にしてただ抗えない唾を飲み込むことしか出来なかったのだった。


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