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傷神鬼 2
忌み子
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二十数年前の春、とある夫婦の間に男の子が生まれた。夫婦にとって初の待望の赤子ということもあり、大層喜んだ。
けれど暫くして異変に気が付いた。
赤子が泣いて癇癪をおこすと、身の周りのものを破壊するようになったのだ。
おおよそ人の力とは思えぬ強さで。
与えた玩具は木っ端微塵に、着物は紙同然に破り捨ててしまった。
恐れた夫婦は村の村長に相談した。すると村長は祈祷師を呼び判断を委ねた。
「この赤子には鬼が取り憑いております」
「では何とする。殺すか」
「なりません。殺せば災いを齎すでしょう。閉じ込めて育てる他ありません」
「だがこの赤子は恐ろしい力で身の周りの物を破壊する」
「私が特別な術を赤子にかけておきましょう。それで少しは落ち着くはずです」