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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第二章
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確保⑧

  □◇■◆(レスティ)



「それじゃあリア、こいつらの治療頼んだぞ」

 勇者様がリアの肩に手をのせている。

「あと、残党がどこかで罠に嵌っていたら、そいつらも同じように治療してほしい。すぐに声をかけれらるようにこいつらの治療が終わったら村の中心の噴水のところにいてくれ」


「わかりました」



 リアとトリストは勇者様から説明を受け、今後の流れと役割を言われたとき、複雑な心境をしているように見えた。レスティ自身がそうだったから、二人もそうに違いないという希望的観測も含まれているが、八割方間違いではないと思っている。



「それじゃあレスティ、俺らも出発するか」

 勇者様が今度はレスティの肩に手をのせる。

「ああ、ちょっと待って。今【気配察知】を使うから」


 勇者様がスキルを使用する。


 ドアを開け勇者様がお先にどうぞと促す。


 日本ではレディーファーストというらしい。正確には日本ではないらしいが、その辺はよく知らない。


 レディーファーストというのはされて嫌な気持ちはしない。むしろ嬉しい。特別扱いをされている気分になるからだ。


 前の夫はそういうことはしない人だった。ただ強く、男らしいところに惹かれた。


 しかし今回の勇者様は全く違うタイプの人だ。結果は残しているが、強いとは到底思えない。そして男らしいとも思えない。


 でも惹かれるのはなぜだろう。一応は優しいからだと自分の中で結論付けているが、それが正解だとは思っていない。女性の扱いには慣れているとは思うけれど。


 そういえばさっきトリストが言っていたが、考えても仕方がないことなのかもしれない。


 ただただ魅力的。それだけ。


 トリストもリアも恐らく似たり寄ったりなのだろう。あの二人も勇者様のどこに惹かれているのかは説明ができないはずだ。希望的観測も含まれているが、八割がた間違いではないと思っている。


 レスティが外へ出ると、あとから勇者様が出てくる。



「さあ、探しに行こうか」

 勇者様が【気配察知】を使いながら、歩き出したのでレスティもついていく。


「使い慣れているのねそのスキル」



 スキルの使用は目で見えるものではないが、勇者様の動きを見るからに慣れているように感じる。



「ああ、練習したからな。覚えたのはいいが使えない、となると恥ずかしいしな。トリストから教えてもらったスキルは基本的なものらしい。だから使えるようにはしておきたい」


「えらいじゃない。でも勇者様……シーフのスキルで賊に成り下がらないようにね」


「そ、そんなことにはならないよ。そんなこと」

 怪訝そうにする勇者様。

「今回は盗賊を罠にかけるために盗賊になりきってみただけだ」


「わかっているわよ」

 少しからかっただけだったが、結構真剣に反論されてしまった。

「それなら今度は私が剣の稽古をつけてあげるわよ」


「剣かぁ……。まあそうだな。やるしかないのかな」


「乗る気じゃないの? 勇者様は勇者なんだから剣ぐらい持ったらいいじゃない」

 本当に勇者なのか心配になる。

「そうよ、何でいつも手ぶらなのよ」



 今更気が付いたが、勇者様に防具は買ったが、武器は選んでいなかった。今度買おう。多分喧嘩になるからみんなで選ぶことになるだろう。



「うーん。まあなりたくて勇者になったわけではないからな」


「でもなっちゃったんだから腹をくくりなさいよ」


「そうですね。レスティ先生。ぜひ稽古をつけてください」


「全然気持ちがこもっていないんだけど」



 王様からの依頼を受けている最中とは思えない日常的な会話をしながら村を歩く。


 村の半分を歩いたあたりで勇者様が反応した。

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