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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第二章
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確保④

「レス姉、この先に誰かいるにゃ。それも数人だにゃ」


「わかったわ。そのまま【気配察知】でどこにいるか絞ってちょうだい」

 レス姉が剣を構えなおしている。


「了解だにゃ」

 精神を研ぎ澄まして集中力を高める。

「あの建物だにゃ」



 自然とレス姉と目が合い、お互いにうなずく。ここから戦闘になるだろう。


 今思えば勇者様とパーティを組んでから初めての戦闘かもしれない。


 スライム状の魔物と戦ったことはあるが、あれは戦闘だったのかと言われると疑問があった。


 気配を感じる建物の前に着く。鍵はかかっていないようだ。【解錠】は使わなくてよさそうだ。



「トリスト、【隠密】で中の様子をうかがってちょうだい」

 レス姉が耳元で指示を出す。


「任せるにゃ」

 親指を立ててレス姉に応える。



 気配を消し扉をゆっくり開ける。


 まだ時刻は夕方だが、建物の中は暗かった。明かりを消しているようだ。


 注意して見渡すが、この部屋には誰もいない。


 奥の部屋の扉が少し空いている。そしてその隙間から光が漏れている。どうやら奥の部屋に何者かがいるようだ。


 ゆっくり建物に入り、音を立てずにゆっくり進む。


 奥の部屋に近づくにつれ何かが聞こえてくる。



「うおぉぉぉぉぉぉおおお」



 おそらく人の声だ。言葉にならない声。


 何か相当まずいことをやっているのではないか? 薬でイカれているのだろうか。それとも人ではなく魔物だろうか。


 不安が過ぎる。


 とりあえず部屋の中を確認しよう。それからレス姉のところへ戻り、状況を説明し、作戦を立てよう。


 息を殺し、明りの漏れるドアの隙間から中を覗く。



「にゃぁぁぁあああ!? にゃんだこりゃぁぁぁぁあああ!」



 どうしてこんなことになっているのだ? 何が起きている? 何が起きてこうなった? 何なんだ? わからないことが多すぎる。



「どうした! トリスト!」

 レス姉が叫び声を聞き、駆けつけたようだ。

「大丈夫? ってなによこれぇぇぇぇえええええ!?」



 レス姉もこの状況を見て混乱している様子だ。混乱しないほうがおかしい。



「え、ちょっとまって。何なの!? どういうことなの!?」


「ぼ、僕ちゃんもわからにゃいにゃ」

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