二回目の招集①
□◇■◆(幸助)
三度目のチラシ配りを終えた翌日。久しぶりにクルミカフェに四人が集まった。隣にはトリストが座る。
トリストが会計を持つときは幸助は決まってハンバーガーを頼む。美味しいのはもちろんだが、ほかのメニューに比べ安いからだ。
幸助なりにトリストに気を使っている。トリストを含む女性陣もその気遣いはわかっているだろうが、あえて口にするほど野暮ではない。女性陣は好き好きに頼んでいるようだが。
「そういえば勇者様。私のアパートの住人のところへ行ってくれたようね」
「ああ、すぐに行きたかったけど、タイミングがなかったからこの間行ってきたよ」
幸助はハンバーガーをコーヒーで流し込む。
「すごい喜んでくれたようだった」
「にゃんのことだにゃ?」
トリストは話の内容が分かっていない。リアも同様にきょとんとしている。
「レスティのアパートの住人が盗賊の被害にあったんだよ。だから励ましに行ってきたんだ。慈善活動は大事だからな」
「優しいですね、勇者様」
それぞれが食事を済ませたところでレスティが鞄から手紙を出した。
「王様からの手紙よ」
ドヤ顔なのが気になるが、口には出さない。
前にも見たことのある展開だ。
「え、俺を連れて来いって?」
「そうよ。何か悪いことでもしたの?」
「してない。俺がやったことなんて、チラシを配ったくらいだろう。まさか、あれっていけないことだったのか?」
「にゃに!? 悪いことだったのかにゃ? いやいや、チラシはよくポストに入っているにゃ。問題にゃいはずだにゃ」
「何でしょうか? また依頼でしょうか?」
「そんなものじゃないかしら? 用がないのに呼ぶような王様じゃないわ」
「ああ確かにそんなこと言っていたな」
「それなら食事も済んでいますし、早速出発しませんか?」
「そうしよう」
トリストがリアとレスティからお金をもらい、伝票を持って席を立つ。それに続き三人も席を立つ。
城へ行くのはこれで三回目だ。三回目だからといっても慣れるものではない。城に向かう足が重くなる。
しかし呼び出された以上、抗うことはできない。王様に会うほか選択肢はない。
これは決定事項。覚悟を決めていざ出陣だ。




