デザイン⑥
□◇■◆(幸助)
翌朝、幸助が目を覚ますとリアが隣でこちらを見ていた。
「起きましたね、勇者様。おはようございます」
「おはよう」
「昨日はあれからどうされたのですか?」
「ああ、リアが寝た後村を一通り見て回った」
幸助は目を擦りながらベッドに腰を掛ける。
「そのあとは中々眠れなかった。明け方過ぎにやっと眠たくなってきたって感じだった」
「馬車の中でもここに着いてからも勇者様は寝ていましたからですね」
リアがコーヒーを淹れ、幸助に渡す。
「昼夜逆転してしまったのではないでしょうか?」
「それはあるかもしれない。今もまだ眠い」
幸助がコーヒーを飲む。
「でもまあもう少しすると出発しないといけない時間か」
「ええ、そうですね」
リアが名残惜しそうにする。
「その前に昨日、村を歩き回って思ったんだけど……。この村は一度魔物に支配されただろ。だからリアの結界魔法でもう一度囲っておいてほしい」
「わかりました。少し時間がかかりますが、やってみます」
「よろしく」
幸助がコーヒーを飲み終えると、それに気が付いたリアが、おかわりをついでくれる。
「ところで結界魔法って魔物以外にも有効なの持ってあるのか?」
「ありますよ。魔物のみ、アンデットのみ、人のみ、他にもありますけれど、その全てに対応する結界があります。バリアの魔法もある意味では結界魔法といえるかもしれません」
「なるほど、勉強になるな。リアは治癒魔法以外もできるんだな」
「はい。勇者様に選んでいただけるように補助魔法も覚えています」
「補助魔法? さっき言っていたバリアとかか?」
「そうです。相手の攻撃を反射したりするバリア魔法だったり、例えば攻撃力や素早さといったステータスアップの魔法だったりですね」
「治癒師というよりもはや魔法使いみたいなもんだな」
「そ、そうですね。でも、一番得意なのは治癒魔法なので、治癒師だと自称しています」
「リアっぽい理由だな。それにしてもどうしてリアは治癒魔法や補助魔法を覚えるようになったんだ?」
「勇者様に選んでもらえるようにです。基本的に転移された勇者様は攻撃タイプが多いので、治癒や補助ができたほう選んでもらえると思ったからです」リアがいつになく真剣な表情で言う。「それに傷ついた人たちを癒すことに喜びも感じますし」
「うん、まあ理由としてはわかるが、それじゃあ保険がなくないか?」




