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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第二章
62/141

会議?①

  □◇■◆(幸助)



 異世界。


 この世界に転移させられてから数ヶ月が経った。何不自由なく暮らしている。


 クルミカフェ。


 いつも幸助たちが利用するカフェ。


 クラトゥ村を魔物から救った幸助たちは村の管理を任され、こうして集まり、再建のプランを考えている。



「そういえば。異世界って番地とか住所ってあるのか?」

 幸助が疑問をぶつける。


「あります。郵便番号っていうものがあります」

 リアが答える。


「郵便番号があるのか。あれか、勇者が持ち込んだのか」


「そうよ。キュオブルクは一〇〇で、クルミカフェは……〇二三三のようだから、一〇〇‐〇二三三ね。それをはがきや封筒の右上に書いて、宛先の名前を書けば郵便物は届くわよ」

 レスティが説明する。


「郵便番号そのものが住所なのか。そうか、都市がそんなに大きくないから国名を上三桁でわかるようにすれば、下四桁の〇〇〇〇から九九九九の一万通りで振り分けられるのか」


「ちにゃみに〇〇〇〇はにゃくて、一〇〇‐〇〇〇一のグランルージュ城からはじまるにゃ」

 トリストが知識をひけらかすように言う。


「城は皇居に該当するのか……。それにしも七桁ってことはここ二十年以内のシステムだな」


「そんなことはないわ。私がまだ百五十歳位のときだったと思うわ」



 レスティは若く見えるが、ハーフエルフのため、年齢の概念が人間とは違う。ちなみに今の年齢は二百二十八歳。ざっと計算して七、八十年前ってところか。


 たしか郵便番号が七桁になったのは日本では九八年だったと思う……つまり約二十年前……。ってことはズレがあるな。異世界と日本は時間的に連動していないのだろうか。



「何を考えているのですか?」

 リアが不思議そうにこちらを見ている。


「ああ……ごめん。ぼーっとしていた」



 トリストが鞄をごそごそと漁っている。



「ぼくちゃんも番号を持っているにゃ」

 トリストがギルドカードを見せびらかす。


「そうね。私も一人一個持っているわよ」


「この番号があれば、いろいろな手続きが楽になります。勇者様のギルドカードにも番号が載っていますよ」



 幸助はギルドカードを確認する。確かに載っていた。



「なるほど。そういうことか。これは郵便番号というより、マイナンバー的意味合いが強いのか」



 たしかに国民全てに番号を振るのであれば五桁では足りない。七十年前の勇者は当時の日本の五桁の郵便番号制度をキュオブルクに合わせて七桁に応用したのか。先見の明がある。



「それじゃあ俺がクラトゥ村に引っ越したら、申請した方がいいのか?」


「そうね。転居届けを提出する必要があるわ」



 日本のマイナバーより情報量が少ないので、見せたり教えたりすることにあまり抵抗がないのだろう。しかし幸助はやはり気が引ける。そっとギルドカードを鞄にしまう。



「ちなみに先ほどのレスティさんの説明には誤りがあります」

 鬼の首を取ったかのようなドヤ顔でリアが訂正する。

「私達のような一般市民の住所にはキュオブルク番号の一〇〇ですが、クルミカフェのようなお店に宛てる場合は一〇一になります」


「そうだったわね」

 レスティは感情を込めずに言う。


「そういうことね。法人番号にもなるわけか」


「法人番号ってにゃんだ?」


「わからなくても大丈夫」



 トリストは不思議そうにしているが、法人という概念はなさそうなので、この話は広げない。


 このようにクラトゥ村の再建とは関係のないことの話をして過ごしている。

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