王への報告①
□◇■◆(幸助)
キュオブルクには十時ギリギリに到着した。
幸助は夜も遅いし王様への報告を出直した方がいのではないかと提案したが、女性陣三人は早めの方がいいと強く言うので、そのまま王様へ報告することになった。
今日中に打ち上げをしたいという考えがあるのだろう。
行きの馬車よりも帰りの馬車の方が酔ったのは、疲れのせいだろうか。気持ち悪さがピークを迎えている。
馬車酔いが完全に醒めたわけではないので、ゆっくり歩いてほしいと思っている幸助をレスティは引きずる形で進んでいく。
女性陣の歩きがいつもより早いと感じるのは、やはり早く報告を終らせて打ち上げをしたいからだろう。
「戻ったかぁ」
王様の声が聞こえる。頭がぐあんぐあんしている。レスティに引きずられたせいで少し悪化している。
王様に失礼に値するかもしれないが、今の状況で完璧な作法はできない。自分の身体を支えるので精一杯だ。申し訳ない。
「夜遅くに失礼いたします。ただいま戻りました」
レスティに習いリアとトリストも膝を立てる。幸助は力なく座り込む。
「申し訳ありませんが、勇者様は疲労のためこのような状況ですが、いち早く報告したいということで、失礼を承知で参りました」
「そうかぁそうかぁ。それは気にせんでよいぞぉ」
「レスティ……ありがとう……」
幸助が力を振り絞りレスティに伝える。
王様との謁見のときはリアとトリストはおとなしい。ここで話すのは上流階級のレスティが適役だとわかっているのだろう。
「それでぇ、どうだったんじゃぁ」
「はい。討伐と浄化をしてまいりました。しかし、到着したときにはもうすでに、村人は全員、魔物の餌食になっており、助かったものはおりませんでした。また、魔法石の結界が破られていました。調査が必要だと思います」
「そうかぁ……それは残念だったのぉ……。結界のこともわかったぁ。しかしまぁお疲れさまぁ。報酬は金貨を用意しておるぞぉ。受け取ってくれぇ」
王様はそう言うと、側近が重たそうな袋を持って現れた。代表でリアが受け取る。中は金貨のようだ。トリストは目を輝かせている。
「ありがとうございます」
「それとぉ、クラトゥ村の管理を君たちに任せることにするぅ」
「む、村をいただけるのですか? 確かルヴィ様の管理下ではなかったでしょうか」
「そうじゃよぉ。しかし村が救えなかった場合は、管理をしないと言われていたのじゃぁ」
「そ、そうだったんですね」
「そうじゃぁ。村人がいないのであれば、これからの発展を君たちに期待することにするぞぉ。それではぁ」
王はそう言い解散となった。




