戦闘④
「おーい、リア! そろそろ大丈夫そうか?」
幸助はリアに声をかける。
「はい。ちょうど今終わったところです」
リアがこちらに歩いてきて合流する。
トリストも終ったようでこちらに歩いてくるが、少し泣いているようだ。手には焦げた芋を持っていた。
「三人ともお疲れ様。それじゃあ帰ろう」
「「「はい」」」
気の進まない仕事だったが、終ってみると達成感で心が満たされていた。帰ったら美味しいものでも食べようと思えるほど、気持ちが晴れていた。それとも今日はみんなで打ち上げでもしようかと、柄にもなく思ってしまう。
四人揃って下山する。一応、教会に寄り、村を一週歩いて残党がいないかを確認する。問題なし。これで完全にクラトゥ村の魔物討伐と生活用水の浄化は終了した。
残念なことに村人は誰一人として救うことはできなかったが、依頼があった時点で全滅していたのだろうと、割り切るしかない。
四人が馬車に戻ると、御者のおっさんは寝ていた。幸助が声をかけて起こすと、もう終ったのかと驚いていたが、出発の準備を始めてくれた。幸助たちは馬車に乗り込む。
「この後の予定を伝えておく」
幸助は三人が席に着くのを確認すると話を始めた。
「これから出発すれば、夜の九時過ぎにはキュオブルクに着けるはずだ。少し遅いが、このまま城に戻って王様に報告をしよう。多分許してくれるだろう。そしてその後は打ち上げだ。クルミカフェでいいな?」
「「「打ち上げ!?」」」
打ち上げという言葉に驚く三人。
「勇者様、打ち上げをするのですか?」
「勇者様が僕ちゃんたちのために打ち上げをしてくれるにゃんて」
「も、もちろん、クルミカフェで構わないわ」
普段からもっと三人を労ってあげなくてはいけないなと反省する。
「お、おお……俺の評価ってそんな感じなのか……。まあとにかく城までは四時間かかる。俺はこの後酔うだろうから、少し寝る。お前らも少し休め」
馬車が出発すると幸助は宣言どおり酔い始める。
往路と同じように復路でも途中休憩を余儀なくされた。




