討伐①
□◇■◆(幸助)
「それじゃあ始めよう」
幸助が合図をする。
「レスティ、地図は頭に入っているか?」
「もちろんよ。この村のことなら何でも聞いてちょうだい」
「それじゃあ建物同士が隣接していなくて、村人全員が収容できそうな建物はあるか?」
「そうね……それなら……」
レスティは少し考えて答えた。
「村の北側の教会がいいかしら」
「ではその教会に村人を避難させよう。レスティとリアの二人に村人の誘導をお願いする」
「わかったわ」
「わかりました」
レスティとリアは返事をすると二手に分かれて非難の誘導を始めた。
「トリストは俺と一緒に避難できていない人がいないか村全体を確認してくれ」
「了解だにゃ」
幸助たちは村人に働きかけ、全員を教会へ避難させた。
村人は不安そうな表情を浮かべながらも教会の中でおとなしくしている。
教会の祭壇に幸助は立ち、村人たちへ声をかける。
「皆さん! 速やかな避難のご協力ありがとうございます。それでは周りを見て避難しそびれていて見当たらない人や、変わった点があるか確認していただけますか」
しばらく時間を取ったが、幸助の声に村人からの反応がない。
「大丈夫そうですね」
「問題ないとっ、思いますっ!」
どこかで聞いた威圧感のある声だった。
「おお……リュジーアか……いたんだな。そうれじゃあ君は俺らが討伐をしている最中、教会から村人が出てしまわないよう、待機させておいてくれ」
幸助は少し嫌な気持ちになったが、リュジーアに仕事を頼んだ。
「わかりましたっ!」
教会内に残した村人はリュジーアに任せ、幸助一行は外へ出る。
何をするのか幸助は話していないので、女性陣三人は後ろをついてくるだけだ。客観的に見たら、ドラクエのような勇者と従事者という形になっているだろう。
「それじゃあみんなで手分けしてドアと窓に板を張り、外に出られないようにするぞ」
幸助は馬車から出発前に積んでおいた木の板と釘ととんかちを取り出し、レスティ、リア、トリストに渡す。
「え、そこまでするの?」
「ああ、これは必須だ」
幸助が大工よろしく釘を口に咥えて答える。
「勇者様、いくらなんでもやりすぎではないでしょうか?」
「これは必須だ」
板をドアにあて、釘を打ちつける。トントントンと素人ながらも上手くできていると自負する。
「にゃんだか気が進まにゃいにゃ……」
「これは必須だ」
二枚目の板に取り掛かる。
教会の中からはざわざわと声が聞こえてくるが、幸助は気にも留めず、板を打ち付ける。
渋々だが女性陣も幸助の見よう見まねでとんかちを振る。
教会全体をトントンと小気味良いリズムが響く。
全てのドアと窓に板を打ち付けると幸助は今度は馬車から油の入ったポットを取り出し、教会にかけ始めた。
目が点になっている女性陣を尻目に黙々と作業を行う幸助。
油をかけ終えた幸助はおもむろに松明に火をつける。松明にも油がしっかりしみこんでいるので、めらめらと大きな炎を作る。
幸助はその松明を教会に投げつけた。




