表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第一章
38/141

資料調査①

  □◇■◆(幸助)



 夕方、幸助はレスティの家にいた。



「これ全部覚えるつもりなの?」



 レスティとテーブルに向かい合い、王様から借りた資料を見ていた。


 資料は城から持ち出せないかと思ったが、融通を利かせてくれ、レスティの家に運んでくれた。


 ただし、何度も持ち出し厳禁の注意を受けた。それくらいはわかっていたし、持ち出すつもりもなかったので、注意だけで貸してくれてた王様には、ただただ感謝だ。


 ここ最近の分でいいと王様に伝えていたが、「不備があるといけないのぉ」とか何とか言って一年分の帳簿が届いていた。かなりの量になったが、レスティの家は広いので、問題なかった。



「全部じゃなくていいと思うが、ここ最近の分は覚えるつもりだ」


「いくら私が二人より頭がいいからと言っても、こんなに覚える必要はあるのかしら?」



 さり気なくアピールを織り交ぜてくるところがレスティらしい。



「無駄になる部分もあるかもしれないけど、被害を最小に抑えられるかもしれない」


「わかったわよ……。私もただ剣を振るだけじゃないんだから」

 レスティは不服そうな顔をしているが、渋々承諾したようだ。


「それじゃあレスティはクラトゥ村の地図を見て、地形とか村の造りとかを覚えておいてくれ」


「はあ……なんだか私の知っている冒険の仕方とは違うのよね……」


「それを覚えるくらいはレスティには簡単だろう」

 幸助は立ち上がり、レスティのそばへ移動する。


「わかったわよ……はあ」


「レスティ、君ならできるよ」



 ため息をつくレスティの肩に手を乗せる。



「あ、当たり前でしょ。こ、こんなの教養のある私には簡単すぎるわ」


「それなら安心だ。レスティに頼んでよかったよ」



 幸助はレスティの肩から手を離し、今度は頭にぽんぽんと乗せた。



「ちょ、ちょっと集中できないじゃない。自分の席に戻ってよ」


「わかったよ」



 レスティが照れているので、幸助は自分の席に戻り、再び資料に目を通し始めた。


 本のページをめくる音とペンを走らせる音だけが部屋に鳴り響いている。


 その沈黙をレスティが破った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ